令和2年度税制改正にて、子会社から配当を受け取った後にその子会社株式
を譲渡することによって、過度な譲渡損が計上されることを防止する措置が導
入されました。この改正は令和2年4月1日以後開始事業年度から適用されま
すので、子会社から配当等を受ける際にはこの措置に該当するかどうかの検討
が必要となります。
この措置の具体的な内容は次の通りです。法人が特定関係子法人から受ける
配当等の額が株式等の帳簿価額の10%相当額を超える場合に、その配当等の金
額のうち益金不算入相当額をその株式等の簿価から減額することとなります。
なお、特定関係子法人とは、配当決議日において特定支配関係(法人及びその
関連者が株式等の50%超を保有)を有する他の法人をいいます。
この措置は外国子会社からの配当等だけではなく、日本子会社からの配当等
も対象となりますので注意が必要です。また、この措置には次のような適用除
外要件が設けられていますので、子会社から配当等を受ける場合は、この適用
除外要件に該当するかどうかの検討が必要となります。
(1)内国普通法人である特定関係子法人の設立日から特定支配関係発生日まで
の間において、その発行済株式数等の90%以上を内国普通法人等又は居住
者が有する場合
(2)イーロ≧ハの場合
イ:配当決議日の属する特定関係子法人の事業年度開始日における利益剰余金
の額
ロ:当該開始日からその配当等を受ける日までの間に特定関係子法人の株主が
受ける配当等の総額
ハ:特定支配関係発生日の属する特定関係子法人の事業年度開始日における利
益剰余金の額に一定の調整を加えた金額
(3)特定支配関係発生日から配当等の額を受ける日までの期間が10年超
(4)配当等の合計額が2,000万円を超えない
新型コロナウイルスの影響によって悪化した日本の資金繰りを改善するため
に、海外子会社から配当で日本へ資金を送るケースもあるかと思いますが、こ
の措置の適用有無についての検討を忘れないようご注意ください。