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【開催レポート②パネルディスカッション】「タイ駐在の専門家が語る!日系企業の経営課題と解決方法」GLASIAOUS Next in Thailand

コラム ニュース
2019.12.06
【開催レポート②パネルディスカッション】「タイ駐在の専門家が語る!日系企業の経営課題と解決方法」GLASIAOUS Next in Thailand

 

パネルディスカッション
「タイ駐在の専門家が語る!日系企業の経営課題と解決方法」

コーヒーブレイクを挟み、続いてパネルディスカッションです。
セミナー申し込み時に、日本人の駐在員の方々が課題と考えられていることをお書きいただき、パネルディスカッションにて税務・会計・人材・ITの4名の専門家たちから回答するという形を取りました。
120件以上の課題をお寄せいただき、特にタイ人とのコミュニケーションや人材育成などが多く見られました。

登壇者の経歴等はこちら

質問①財務分析の方法

Q 月次のチェックや本社への報告は現法社長の仕事ではあるが、多忙な中で実際どの程度かけているのか?

鉤 「数字面の専門家ではないが、半日程度かけている。」
渡邉「トラブルで時間がかかることもあるが、半日くらいしかかけることができないのが正直なところ。」

Q では、現実的にひと月に半日として、できる数字のチェック方法は?

小田「PLを意識している方は多いと思うが、BSにも着目いただきたいポイントがいくつかある
①売掛金のうち滞留しているものはないか、②その他流動資産の中でも仮払金・立替金には同様に回収されないリスクがあるため状況を確認する、③固定資産については、日々の感覚と実際の数字に違和感がないかをチェックする。いずれも、残高試算表から勘定明細まで細分化して内容を確認すると良い。」

Q リスナーからの課題の中には、コスト構造を変えていきたいという意見もあった。これについて財務分析という観点からできることはあるか?

小田「タイの形式のPLのままでは、段階損益がわからないため、分析用に段階損益のわかる形で組替をするとわかりやすい
その上で、費用の構造(内訳の割合)について、例えば前月や前年同月と比較して異常値がないかをチェックする。さらに、固定費と変動費に費用を分けて、損益分岐点分析までできると良い。
これを毎月繰り返していけば、経営施策がどのように数字に表れてくるかがわかるようになり、コスト構造の改善につながると考える。」

Q 社内不正を課題として挙げた方も複数いたが、その事例や防止策は?

井口「財務分析の中でも、帳簿上の現預金残高と実際の残高の突き合わせと、売掛金の滞留状況はチェックしておくべき。
過去、小口現金の着服から、数百万バーツの不正が起きたことがあった。」

質問②タイ独特の税務を、駐在員としてどこまで知っておくべきか?

井口「VAT(付加価値税)については、書類の要件が細かく決まっていて、原本の不備によって損金算入が認められない場合もある。印紙税も税務調査に入られて、追加課税を受けることが多い。形式的ではあるが、留意すると良い。キャッシュアウトが減れば本社への説明もしやすいと思われる。」

Q 還付請求をしたものの、税務調査で還付金額以上の追加課税を徴収された、また、タイ人スタッフに税務手続について聞くと「できない」と言われるが、それが制度上できないのか、単にやりたくないだけなのか判別できない、という課題があった。これらについてのアドバイスは?

小田「タイでの税務調査は日本と異なり、かなり調査官の裁量によるところが大きい。また、タイ人スタッフが言っていることが正しいのかそうではないのかが判別できないときには、専門家に相談することが有用。」

質問③売上(販路)の拡大のために行っていることは?

渡邉「売るモノを増やすのと、売る先を増やすのでは、後者の方が取り組みやすい。結局はネットワークを増やすことが重要。違う業界の人と会うと、思わぬビジネスチャンスが生まれることがある。」

鉤「高額なお金をかけてでも、良い営業を雇うこと。後ほど述べるが、タイでは優秀な営業職を見つけることが大変難しく、そこはお金をかけても良いところだと思っている」

質問④システム導入

Q システム導入の留意点は?また導入したことによる効果測定をどのように行うべきか?

井口「GLASIAOUSを導入する際、スタッフが操作に慣れていないことを理由に新しいシステムを使いたがらなかったが、お客様が導入したということで使ってもらい、しばらくすると好意的に利用するようになり、意見もでてきた。新しいシステム・やり方の導入にあたっては、ある程度トップダウンも必要と感じた。」

小田「システム導入の効果測定について、費用の削減効果は大きくならないことが多い。属人的な作業の排除、作業の均質化、情報の正確化など定性的な判断を行う方がよい。」

渡邉「当たり前だが、目的ありきでシステム導入を検討することが大事。システム導入は必ずしも必須ではなく、他の方法で目的が達成できるならばそれに越したことはない。効果の測定は、正直省人化によるメリットは多くない。それよりも本来的な組織上の埋没コストに目を向けるべきと考える。特にタイではイレギュラーケースの業務整理がキーになってくる場合もある。
なお、新しいシステムを導入すると、タイ人の多くはやめる。そこまで考えて導入に臨むべき。」

質問⑤タイ人とのコミュニケーション

鉤 「日本人は噛めば噛むほど味のする、スルメのようなもの、と思われている。つまり、何を考えているかわからない、ということ。
自分の思う3倍のコミュニケーションを取れているか、常に考えるべき。
タイ人の考え方を表す言葉として『ビジュアルシンキング』がある。目から入る情報に基づいて考える傾向にあり、ロジカルシンキングとは全く異なる考え方。」

渡邉「タイに来て9年目で、とにかくシンプルに伝えることを心がけてきた。しかし、つい最近、スタッフから『渡邉さんの言っていることはよくわからない』と叱られ、自分が慣れすぎて、スタッフにきちんと説明しきれていないことに気がついた。日々反省の連続。」

質問⑥ 組織の整備

Q ローカルスタッフの育成や離職率低減、人件費の統制など、様々な課題を抱えている。それらの課題を見ていく中で、理想的な組織として浮かび上がってきたのが、「タイ中心の組織」。そのような組織になるために、どのようなことに留意すべきか?

鉤 「タイ人全体の特徴と、個々人の特徴を理解することが大事。
まずタイ人全体の特徴として、仕事に対する柔軟性・敏感性の不足や初速が出ないという特徴がある。こういった特徴の方は突発的な事項への対応を苦手とするので、例えば状況に応じてスピーディーに打ち手を考えていかなければならない営業職は向いていないことが多い。
またコツコツ習熟度を上げていく方が比較的向いているため、結果を出すためには長く働いてもらう必要がある。いかに長く安定して働いてもらうかを考えることが重要になる。
そこで、ジェネラリスト向き、スペシャリスト向き、ルーチンワーク向きなど、個々人の特徴を見極め、適切な業務に割り当てることで、満足して長く続けてもらいやすいのではないか。」

Q 各会社での実際の運用について

井口「スタッフの昇格については、チームマネージャーの意見で評価を行っている。実際の業務ができているかについては、駐在員の立場からは、なかなか判断が難しい。そのため、実際の現場を仕切っているマネージャーの意見を聞いて、昇格を決めている。」

Q タイ人中心の組織にしていく一方で、離職率をゼロにしたり、スタッフ全員を平等に育成していくのは現実的ではないとも考えられる。ある程度の人員の新陳代謝を前提に、組織を作っていくうえで必要なことは何か?

小田「ある程度、離職を前提とした組織運営は必要。属人的な作業を減らし、作業を標準化する。ただ標準化を進めるだけでは飛躍的な発展が望めないため、スター人財を定着させる待遇や処遇を考える必要がある。メリハリのついた人事評価が大事。」

鉤 「全く同感。業務を標準化するだけでなく、そこに適切な人材を配置する。優秀な人材を適切に評価することが大事。」 

最後に、改めて「うまくいく企業」と「いかない企業」の共通点は?

井口「うまくいく企業は日本人とタイ人スタッフとの間に信頼関係がある。逆にいかない企業はコミュニケーションが欠けている。コミュニケーションをしていれば避けられるトラブルも多く存在する。意見を言い合える関係の構築が重要。」

小田「現法のマネジメントが、その会社の各部門の最終的な責任を有していることを自覚して、経営にコミットしていく姿勢が大事。」

渡邉「マネジメントの人としての魅力。うまくいく企業は魅力的な日本人マネジメントを、タイ人の優秀なスタッフが支えている。」

鉤 「3つポイントがある。「知らない」ということを知る。自分の経営する会社が、どこから見ても魅力的な会社であるか自問自答する。上司としてきちんと言葉にする・文章にするなど、十分なコミュニケーションをとる。」

まとめ

アンケートでも「タイで働く日本人トップの経験談が参考になった」「各パネリスト様の的を得た表現に「そうそう」の連続でした」など、共感した感想が多く見られました。登壇者の皆様に御礼を申し上げます。

その他の開催レポートはこちら

第一部:基調講演 「タイで“儲かる企業”になるための戦略と組織運営」

第三部:対談「タイ現地法人vs日本本社!!~ITによる効率化/本社のうまい巻き込み方」


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