1.はじめに
国税庁は税務調査の実績を公表しています。これを見れば、国税庁が何を考えているか、どんな取り組みをしているかまた、どこに誤りが多いのかなど、様々な状況を読み取ることができます。
今回は、その中でも海外取引に関わる論点に絞って、国税庁の資料を概観します。
(【報道発表資料】令和6事務年度 法人税等の調査事績の概要
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2025/hojin_chosa/pdf/01.pdf )
2.調査の動向
1)消費税
資料によると、消費税申告が還付になる法人を特に意識しているように見受けられます。
還付が生じやすいケースは、(1)多額の設備投資や(2)輸出免税を行う企業、の2つが挙げられます。
特に(2)は、輸出免税の要件(輸出証明や書類の保存等)が関わるため、資料の整備・保存状況が重要になります。
2)法人税
資料によると、海外と取引がある法人を重点に見ている様子も読み取れます。
商慣習や取引認識の誤りによる修正もあるとは思いますが、事例としては、例えば外国子会社合算税制、移転価格税制が挙がっています。
資料の申告漏れ所得金額を1件平均で考えると、海外取引等に係るものは約88百万円になります。
これを外国子会社合算税制に限ると約4.6億円、移転価格税制に限ると約3.7億円となり、その影響が大きくなることが分かります。
海外取引等のある法人ほど、リスクが高まりやすい傾向をうかがうことができます。
3)源泉税
資料によると、居住者/非居住者の判定に関連する、租税条約の適用誤りが挙げられています。
日本国内で完結している業務だけなら、日常的に取り扱っているため、手慣れたところがあるでしょう。
しかし、日本と海外の取引が絡む瞬間に、租税条約を踏まえて、源泉徴収の有無・税率を読み替え対応しなければなりません。
3.おわりに
簡単に国税庁の税務調査の実績資料を概観しましたが、海外取引等を行っている会社は、申告漏れ所得金額が大きくなる傾向にあります。
また、資料冒頭でAI活用を表明しています。少なくとも機械的に判断できる要素は、今後AIが担うと想像できます。
これらに備えるため、日頃から処理やモニタリングを行い、定期的な点検(リスク診断)をすることで、精度を高めるのがよいでしょう。
※ Youtube にて、海外進出に関わる国際税務、ベトナム及び 中国進出に関わる留意事項・会計制度・税制について解説しています! ご関心のある方は、ぜひご覧ください。
<税理士法人名南経営 国際部チャンネル>
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