ミャンマーおけるクーデター発生から2か月が経過しましたが、抗議運動と国軍の弾圧はますます激化し、現地国内では依然と緊張状態が続いています。そのような中で、ビジネスの中断および駐在員の帰国を余儀なくされるケースも増え、現地の政治・経済情勢やビジネス動向などの情報収集が難しくなっています。
このような昨今の状況を踏まえ、4月23日に東京コンサルティングファームと共催で、Webセミナー「現地経験者が語るミャンマーの今~企業はこの状況をどう乗り切るか~」を開催いたしました。
当日のスケジュールや講師プロフィールは[こちら]
以下、講演内容の要約をお伝えします。
ミャンマーの現状と緊急下での子会社管理
1.ミャンマーの現状
2月1日のクーデター以降、CDM(不服従運動)とそれに対抗する鎮圧行動が頻発していたが、最近では、武力行使するデモ活動は縮小し、抗議の声をあげる平和的活動が主流になってきている。
しかしながら、インターネットのモバイル通信や無線通信は遮断されているなど(ケーブル通信のみ現在は通信可能)、社会インフラは鈍化している。また、日本からの渡航においては、依然としてVISAの発行は停止されており、ミャンマー発着の商業便が禁止されていることから、厳しい状況が続いている。
さらに最近では、検閲・捜査が活発的になっており、スマートフォンのメッセンジャーやSNSの履歴をチェックされるため、外国人が検問対象になることは少ないものの、政治的な内容を含むやりとりを避けるかメッセージを削除することが重要である。
2.日系企業の動向
上記のような状況下では、関税や省庁も動きが鈍くなっており、各種日系企業では各種業務対応の遅れが発生していることから、進出日系企業の多くは閉鎖・休眠を視野に入れながらも、情報収集を行いながら様子見を行っている。
また、NUG(NLD側組織)と軍政の二極化により、納税に関して判断を迫られている。
NUG:CRPHにより樹立された国民統一政府
※CRPH…昨年11月の総選挙で当選したNLD議員による組織
連邦議会代表評議会(連邦議会)。SACをテロリスト集団と糾弾。
SAC:国軍の最高意思決定組織、国家統治評議会(SAC)
NUG、CRPHを違法組織と指定。
軍勢への抗議活動の一環として、2021年3月3~4日にCRPHによって「Union Tax Law2020改正」のアナウンスがされ、2021年9月30日まで租税徴収が延期されることが周知された。納税を行った企業・国民への処罰は触れられていないものの、現状としては、納税を継続している企業は全体の1割程度であり、約9割が納税を停止している。納税を停止している企業の理由として、必ずしもNUGを支持しているというわけではなく、「出社ができない」「銀行の動きが鈍く、納付業務が難しい」などの物理的な立場をとっている。
このような現状で、「日本人が一時帰国したまま、帰緬できない」「従業員が全員リモートワークをしている」「業務をしているスタッフに仕事が集中している」という声が多く、このような状況下での子会社管理のポイントについて、次項で説明していく。
3.緊急下での子会社管理
今後、海外(ミャンマー)への進出目的が変化していくと考えられる。
<現在>:労働集約・輸出鋳造型でのコストダウン
(安価な労働力を目的とした進出)
↓
<今後>:生産性・地産地消型での収益アップ
(経済成長を期待した現地マーケットへの投資)
このような変化に伴い、拠点のトップは「利益拡大を目的とする経営者」としての役割を求められるため、日本人駐在員に完全に頼らないマネジメントが必要となる。

「駐在員頼り」が失敗する理由は、以下のとおりである。
駐在員の人数・キャパシティに組織の規模が比例する状態だと、、、
・日本人が増えれば、販管費が増える⇒利益が出にくく、本社からも評価されない。
・日本人が増えなければ、ずっと忙しく、心身ともに疲れる。
・駐在員が変わると組織・仕事のやり方も変わってしまう。
・駐在員がいなければ(増えなければ)、会社の成長のために動いてくれる人がいない。

上記のグラフのとおり、「企業として長期的に成長できる仕組み」にすることが重要である(=ローカライゼーション)。
まとめ
いかがでしたか。現在、ミャンマーに進出している企業様や駐在員の方、または進出を検討されている企業様はもちろん、その他の国に展開されている企業様におかれましても、ミャンマーの現状を知ることでこのような緊急事態下での海外子会社の進出・休眠・撤退に関するご判断の一助になれば幸いです。
GLASIAOUSでは、定期的に会計業務や海外子会社管理などを題材としてセミナーを開催しています。ご興味のある方は、是非ともご参加いただければ幸いです。
当日のセミナー資料はこちらからダウンロードできます。
※ 現在開催中のイベント情報はこちら