2018年2月15日より、12月決算の企業において、新たな金額による見積法人税の納付がスタートしました。
その際、お客様から納付のルールに関するご質問をいくつか頂いたこともあり、今月は本記事にて、改めてマレーシアの見積法人税(CP204)に関する概要と、お客様から実際に頂いたご質問を紹介したいと思います。
マレーシアの見積法人税の制度は、ご存知の通り、前年の利益の見積額に応じて納めるという少し変わった方法が採られております。
以下、概要についてご説明いたします。
<税率>
マレーシアの法人税率は24%です。
ただし、2017,2018年のみ、課税所得が前年度より増加した場合に、その増加分にかかる税率が20~23%にまで引き下げられます。
また、払込資本金がRM2,500,000以下の会社の場合、課税所得がRM500,000までは税率が18%となり、それ以上は24%となります。
<見積方法>
翌年の法人税の見積額を算出し、それを12で割った数字を会計年度終了の1か月前までにLHDN(税務署)に提出するとことが義務付けられております。実際の納付は、会計年度の2ヶ月目から毎月15日までに行う必要がありますが、6ヶ月目と9ヶ月目に見積額の修正を行うことが認められています。つまり会計年度が1~12月の場合、見積法人税額を前年の11月30日までに申告し、必要に応じて翌年の6月(6/1~6/30) と9月(9/1~9/30) に修正をすることが可能となります。また、税額を見積もる際に前年度の見積税額または修正見積税額の85%を下回ることはできないというルールがあります。
<罰金等>
見積額が、2018年の確定税額を30%超下回った場合は、不足分に対して10%のペナルティーが課されます。ただ、納付額が確定税額を上回った場合は、その過払い金について翌年度の分割納付分と相殺するか還付されるため、多めに見積もっておくことが実務上一般的となります。
<申請方法>
タックスエージェントライセンスを保持している者が申請可能となっております。
タックスエージェントに委託されている会社は、そちらに申請を代行してもらうのが一般的ですが、従業員でタックスエージェントライセンスを保持している者がいる場合、その従業員による申請が可能です。
実際の申請はE-filingというインターネットサイト上ですることになりますが、特に複雑な操作はないように考えられます。
次に、具体的な運用方法に関するご質問をご紹介いたします。
【ご質問】
2017年は赤字でしたが、2018年法人税の見積もり額は前年度の見積税額(または修正見積税額)の85%を下回れないと聞いていたため、2017年の見積額とほぼ同額で申告しました。2017年は赤字だったのに2018年の法人税は納めなければならないのでしょうか。
【弊社ご回答】
2017年が赤字であった場合は、2017年に予定納付していた法人税が翌年度の分割納付分と相殺、もしくは還付されます。そのため2018年には影響してきません。したがって貴社の場合であっても、2018年の法人税を(前年の85%以内に)見積もり、申告・納付する義務がございます。会計年度の6ヵ月目と9か月目に見積額を修正できるため、その際に額を調整するのがよろしいかと存じます。
上記に関する細かいご質問はメールで承っておりますので、ご不明点がございましたらお気兼ねなくご連絡いただければ幸甚です。
今後とも、引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
以上
寄稿:株式会社東京コンサルティングファーム
インド・中国・香港・ASEAN・中東・アフリカ・ラテンアメリカなど世界27か国に拠点を有し、各国への進出や進出後の事業運営についてトータルサポートを行っている
また、新興国投資に対応したデータベース「Wiki-Investment」を提供し、30 カ国の投資環境や会社法、税務、労務、M&A実務といった内容を掲載(URL http://wiki-investment.com/)
さらに「海外投資の赤本」シリーズとして、インド・中国・東南アジア各国・メキシコ・ブラジルなどの投資環境、拠点設立、M&A、会社法、会計税務、人事労務などの情報を網羅的かつ分かりやすく解説した書籍を出版している
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