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GLASIAOUSコンソーシアム、新型コロナウイルス(COVID-19)情報共有会を実施
2020年5月18日に、コンソーシアム会員及び有志の企業による、新型コロナウイルス(Covid-19)の情報共有会が行われました。会計事務所を中心に、IT系、保険会社など幅広い事業に関して、コロナウイルスによるビジネスの影響、テレワークの対応状況、今後の展望を語っていただきました。
日本のみならず、ベトナムやインドからも参加いただき、14社27名の大web会議となりました。各地、各企業の得意分野に応じた実際の現場の話をお聞きする貴重な機会となり、大変中身の濃い2時間半でした。
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弊サイトを訪れる方々にもぜひご覧になっていただきたく、以下に要点をまとめました。
1.COVID-19による影響の概況
◆インバウンド(海外→日本進出)、アウトバウンド(日本→海外進出)に関わらず、新規の進出案件やM&A案件は大幅に減少
世界各国の緊急事態宣言が解除されたとしても、すぐに海外に出ようという動きは期待しにくい。まずは今回受けたダメージからの回復が先になるため、早くても今夏~来年になるのでは。企業によっては回復に2~3年かかるかもしれない。
一方で、今すぐにではないものの、今後の海外進出を模索する企業からの問い合わせは増えてきている。日本のみで事業展開をしていた企業が、今後事業を多角化するにあたって、海外市場への参入も検討するかもしれない。
◆すでに進出している海外現地法人の撤退件数はまだ増えていないが、検討企業は増加傾向
特に海外の会計事務所からは、今のところCovid-19による直接の影響で撤退に至った企業はないものの、相談は増えているということであった。
特に、アウトバウンド(日本企業の海外進出)への影響は?
- 日本人駐在員を一度帰国させたものの、現地に戻せないという状況が、(国にもよるが)6月末から8月程度までは続くと想定される。このような状況下で、今まで日本人中心でマネジメントを行っていた組織も、現地マネージャーに徐々に権限移譲を行い、日本人関与の依存度を下げた組織運営が求められる。
- 表裏の関係として、日本人関与度を下げた分の適正な内部統制は重要度を増していく。
- よって今後は「現地マネージャー主体(日本人関与度の減少) 」と「適正な内部統制の構築」の両輪を実施していく必要がある。
特に、インバウンド(海外から日本への進出)への影響は?
- 海外に渡航できない状況やオリンピック延期が拍車をかけて、日本へのインバウンド案件は完全に止まっている。
- 一方で「日本進出に向けての勉強会」の問い合わせは倍増しており、コロナ終息後に反発的にインバウンド案件が増える可能性がある。
- コロナ終息後のニーズに対して、いかに対応をするかの準備を行う事が重要となる。
2.テレワーク実施状況とその阻害要因
多くの会計事務所・事業会社で、段階的なテレワークが実施されている。テレワーク実施の大きな阻害要因は以下の3点。
①セキュリティの問題
⇒VPNを使ってセキュリティ対策をしている企業もあるが、接続状況が不安定な場合もある。また、経理関係は紙の資料が多いため、出社せざるを得ず、テレワーク阻害の大きな要因になっている。
②承認フローが電子化されていない
⇒事前に参加者に向けて行ったアンケート結果では、テレワーク阻害要因は、押印手続などが最多であった。
③インフラが整っていない
⇒首都圏ではテレワークが進む一方、地方ではテレワークに対するインフラが整っていない傾向にある。
3.今後について
事業に与える影響のマイナス面ばかり見てしまいがちな中、特に若い経営者からは今をチャンスととらえる声もあった。
◆「見えていたものが見えなくなり、見えていなかったものが見えるようになった」
covid-19の影響下、見えなくなるものがある中で、テレワーク実施に伴い、作業タスクの棚卸 / 不要不急業務の後回し / (能動的な)働き方への姿勢等が見えるようになった。
◆「出来なくなったことが注目されがちだが、出来るようになったことに目を向けるほうが重要」
これまで日本と各国間を線で結んで進める仕事が大半だった。オンライン化に伴い、複数の国を対象に「面」でつながった体制をつくれる可能性を感じている(日本企業の海外進出支援を行うコンサルティング会社)。
◆ゼロベースで業務を見直す好機ととらえて、新しい業務体制を構築する機会となりうる。具体的に検討しているのは以下の項目。
①クラウド会計システム
ネットさえつながれば、作業者と承認者が、時間や場所を問わず、同じデータを参照できる。
②ペーパーレス化
電子署名、電子インボイス、電子決済等。
日本では既に契約書の電子サイン化を進めている企業もある。一方でベトナムなど一部の国では、印鑑と署名の文化が根強く、どう訴求していくかは課題(ベトナムの会計事務所)。
③テレワークをベースとした就業管理・雇用体系
社員がどのような業務をしているか把握するために、管理者と毎日会話・報告をさせるなどの仕組みづくりが重要。さらに今後はテレワークを前提とした採用も検討している(外資系をメインで担当する会計事務所)
いずれも、現在の状況が収束しても働き方への変化は今後も続くと考えられ、継続的な検討と適用が必要との見解であった。
ビジネスエンジニアリングという一企業として、自社の状況も顧みながら、大変参考になる内容でした。このサイトをご覧になった方にも有用な情報となりましたら幸いです。
(執筆者:ビジネスエンジニアリング 春山、松本、片野)
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