会計システムにもコスト削減が求められた
国外に複数拠点を抱える同社では、海外法人を横断して情報を統合することを見据えた会計システムを実現したいと考えていた。もっとも、日本本社ではすでに多様な外貨建取引に対応した連結決算機能を有する会計パッケージを導入していたものの、運用コストが悩みの種となっていた。
「3~5年ごとに行われるソフトウェアのバージョンアップに対応するのに数百万円の費用がかかるのです。加えてオンプレミスで運用するサーバーの費用、ハードウェア更改に対応する費用、IT事業者に支払う保守契約の費用などを合算して月間に均すと約25万円のコストがかかっていました」と清水氏は明かす。
コロナ禍でビジネス環境が世界的にも厳しさを増していく中、同社でもさらなる事業拡大や企業価値の向上を目指していくとともに、経営資源配分の見直しも検討。その一環として会計システムに費やしていたコストを削減する機運も高まっていた。
同社ではシステム更改に向けた情報収集を開始し、「商社」「グローバルシステム」「外貨管理」「英語(多言語)対応」といったキーワードを軸に、新たな会計システムの候補となるいくつかの製品を絞り込んでいった。その中から同社が最終的に選んだのが、「GLASIAOUS」である。
「弊社が新システムに求めた要件をトータルに満たしていたのがGLASIAOUSでした。メキシコをはじめとする海外での豊富な導入実績があることも大きな要因であり、まさに弊社に最適な会計システムだと判断しました」と清水氏は選定の理由を示す。
月間平均で約25万円かかっていた運用コストを5万円程度に削減
2021年9月にGLASIAOUSの導入を正式決定した同社は、同年11月に旧会計システムからの移行に着手し、実質2~3カ月の短期間で作業を完了。パイロット運用を経たのち、2022年4月の新年度より本番運用を開始した。
「もともと旧システムでは、基本的な財務会計機能のみを使用していたので、比較的スムーズに移行作業は完了しました。勘定科目、拠点、部門、管理対象の外貨、さらに旧システムで管理していた過去データの扱い方のルールなど、基本事項さえしっかり押さえてGLASIAOUSに定義さえすれば移行は可能で、技術的な観点からの問題はまったく起こりませんでした」と清水氏は振り返る。
それから1年半近くが過ぎた2023年9月現在、同社の会計業務ではいくつかの変化が見られている。1つが、今回の会計システム刷新の目的でもあったコスト削減である。「ソフトウェアのアップデート費用をはじめ、サーバー費用やハードウェア更改費用、保守費用などすべてが不要となり、月間平均で約25万円かかっていたコストは5分の1である5万円程度に削減されました」と清水氏は強調する。
その他の効果が現場業務の効率化だ。同社 経理課 課長の秋山泰彦氏は、「Excelとの親和性の高さを評価しています。会計伝票はExcelシートで作成してもらっているのですが、その内容をコピー&ペーストでGLASIAOUSに登録できる点が便利だと感じています。逆にGLASIAOUS で集計したデータをExcelに出力し、管理会計用の資料や報告書も簡単に作成できます」と語る。
そしてGLASIAOUSはクラウドサービスであるがゆえに、場所を問わないシステム利用が可能となった。「おかげで在宅勤務を望む社員を中心に、経理部門でも柔軟なリモートワーク対応が進んでいます」と清水氏は語る。
グローバル全体の会計システム統一も視野に
同社の各海外法人については、現状それぞれの地域に適した会計システムを導入している。グローバル共通の経理マニュアルのもとで勘定科目や締め処理の手続きなどが統一されており、連結決算からキャッシュフローの管理まで、月次ベースで対応できる体制が整っているという。
とはいえ現状は決して最終形ではなく、将来的にはすべての海外法人の会計システムを統一したいという思いも抱いている。
「財務会計から管理会計まで、現在の体制でも実務上の問題はありませんが、各海外法人の会計システムはブラックボックスで、本社とのやり取りも現地責任者に依存しているのが実態です。本社からのより厳重なガバナンスを確立するためには、グローバル全体で会計システムが統一されているのが望ましい姿です」と清水氏は語る。日本本社でGLASIAOUS が上げてきた成果を踏まえつつ、同社はその将来を見据えている。