ドイツに親会社があり、日本を代表するワイン直販会社であるピーロート・ジャパン株式会社(以下、ピーロート・ジャパン)では、基幹システム上で稼働している会計システムの刷新を目的に、ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)のクラウド型国際会計&ERPサービス「GLASIAOUS」を採用した。手作業でのレポート作成や、データの二重入力によるミスなどの問題を解消し、会計業務の大幅な効率化を実現した。
ドイツに親会社があり、日本を代表するワイン直販会社であるピーロート・ジャパン株式会社(以下、ピーロート・ジャパン)では、基幹システム上で稼働している会計システムの刷新を目的に、ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)のクラウド型国際会計&ERPサービス「GLASIAOUS」を採用した。手作業でのレポート作成や、データの二重入力によるミスなどの問題を解消し、会計業務の大幅な効率化を実現した。
キーワード:ペーパーレス化/承認フローのデジタル化/レポート作成の自動化/二重入力防止によるミスの軽減/ Excelからの入力の効率化/人材の柔軟性の強化/親会社への報告の効率化
CSVデータを使って基幹システムと連携できること、ドイツ本社に英語のレポートを提出するために日本語と英語に対応していることなどを主な要件に製品を検討し、採用を決定。損益計算書や貸借対照表を独自フォーマットで柔軟に出力できることなども評価している。
ピーロート・ジャパンは、ドイツで340年の歴史を持つ老舗ワイン商社「Pieroth Wein AG」の日本法人だ。ワインの輸入販売を主な事業としながら、現在ではワインバーの運営も事業として展開。新型コロナウイルス感染拡大以降はワインのネット販売にも力を入れ、顧客に卓越したサービスと価値を提供することを目指している。
そうした同社の業務を支える基幹システムはオフコンで稼働しており、導入からかなりの年月が経過していた。付随する会計システムも導入から20年以上使用され、近年の業務内容にはそぐわないものだったという。
「最大の課題は、元帳や仕訳帳、損益計算書など諸々の帳票がすべて紙でのアウトプットにしか対応していないことでした」とピーロート・ジャパンの経理課マネージャーである中田学氏は振り返る。
当然ながら帳票の回覧や連絡から承認のフローも必然的に紙ベースで行われ、それらの帳票は最終的にファイルにとじて保管される。決算が終わるごとに新しい資料と古い資料を入れ替え、古い資料を倉庫に移動させることが必要になるが、ダンボール詰めされた書類の運搬作業もかなりの負担になっていたという。
こうした経緯も含めピーロート・ジャパンでは会計システムの刷新へと乗り出すことになる。会計システムは、もともと基幹システムと連携する仕組みとして構築されていたものの、切り出して単体でのリプレースが可能であったため、新たな会計システムの導入プロジェクトを進めることとなった。
新たな会計システムの選定では何がポイントであったのか。社内の業務改善などプロセス管理担当を務め、今回の製品選定に携わった六川奈穂子氏は次のように語る。
「会計処理に必要なデータは、基幹システムからCSVファイルで抽出できるので、CSVデータを使って基幹システムと連携できる会計システムが必要でした。また普段の会計業務では定期的に本社に英語のレポートを提出することが必要なので、日本語と英語を含む多言語に対応しているかどうかが重要でした」
上記を満たす製品を探した結果、ピーロート・ジャパンが最終的に選定したのがGLASIAOUSだ。そのポイントとしては、機能が充実していること、また会計業務の効率化が期待できること、カスタマイズにより損益計算書(PL)や貸借対照表(BS)を独自フォーマットで柔軟に出力できることなどを評価して採用を決定したという。
六川氏は、「中でも気に入ったのは、Excelで作ったフォームから、コピー&ペーストで伝票が作れる機能でした。弊社の複雑な組織体系に対応できることも評価しています」と話す。
2019年6月にGLASIAOUSの採用を決めたピーロート・ ジャパンでは約3カ月でシステムを構築した。その後、9月より旧会計システムとの並行稼働を開始し、問題がないことを確認できたため10月より本番稼働をスタートした。
GLASIAOUSの導入によってレガシーな会計システムを刷新することで、さまざまな効果をもたらしている。 特にPL、BSは、ドイツ本社で決められているフォーマットがあり、手作業でレポートを作成していたが、GLASIAOUSはボタン1つでレポートを出力できる。また画面から条件を設定して、自由にデータを抽出できる機能も非常に有効だったという。
「どの仕入先から、いつ、いくらで購入したのか、どれくらいの外貨を使ったのかなど、知りたい情報を多言語、多通貨で容易に把握できることを取締役が高く評価しています」(六川氏)
また多通貨対応も業務に役立っている。以前は、期末の残高を確認する場合、金額を円で入力し、Excelでドル、ユーロ換算の補助表を作成して確認していた。GLASIAOUSでは円、ドル、ユーロの金額をそのまま入力できるので、補助表を作成する手間もなくなり、二重入力による入力ミスもなくなった。
以前は紙で出力して回覧し、取締役の承認をもらっていた各種業務フローについても、GLASIAOUSでは画面上で承認できるのでフローの短期化を実現できる。経理課の現場の業務では実際にどれほどの効果を実感しているか。
経理課の山内智美氏は、
「以前は、4桁の勘定科目のコードを覚えなければ仕事になりませんでしたが、 GLASIAOUSでその不便さは解消されました。また仕訳を入力しても紙に出力するまでチェックできませんでしたが、GLASIAOUSは画面上でチェックできるので便利です。Excelに入力した仕訳データをコピー&ペーストするだけで入力できる機能の効果は大きく、例えばこれまで30分程度かかっていた入力作業が5分程度で終わります」と話す。
一方で中田氏も「以前は、経理スタッフ5名で会計業務を行っていましたが、GLASIAOUSの導入による効率化で、現在は4名で処理できるようになっています」と説明する。そして最後に同氏はこう語る。
「GLASIAOUSはクラウドサービス(SaaS)なので、端末に依存することなくWebブラウザからいつでもどこでも仕事ができることを非常に高く評価しています。コロナ禍では在宅勤務や交代制での出勤を実施していますが、以前の会計システムのままだったらと考えるとゾッとします。GLASIAOUSは現在の会計業務にぴったりの仕組みであり、まだ使いきれていない機能も含めて有効活用することで、今後も引き続き効率化を進めたいと思っています」