国内外で建築および不動産事業を展開するTECRA株式会社(以下、TECRA)では、モンゴル子会社の会計処理を日本から管理することを目的に、ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)のクラウド型国際会計&ERPサービス「GLASIAOUS」(グラシアス)を導入した。モンゴルで経理担当者を採用し、現地で記帳を開始することで、国境を越えた会計業務の分担と最適化を実現している。
国内外で建築および不動産事業を展開するTECRA株式会社(以下、TECRA)では、モンゴル子会社の会計処理を日本から管理することを目的に、ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)のクラウド型国際会計&ERPサービス「GLASIAOUS」(グラシアス)を導入した。モンゴルで経理担当者を採用し、現地で記帳を開始することで、国境を越えた会計業務の分担と最適化を実現している。
キーワード:新興国の会計や税制に柔軟に対応/海外小会社の会計処理の内製化/会計業務の分担と最適化/連結決算の短期化
コストの点から社内決裁が通りやすいこと、機能のマトリックス表を作ったときに競合するサービスが少なかったことが決め手となってGLASIAOUSの採用を決定。モンゴルなどの新興国では選択肢が少なかったことから、GLASIAOUSは最有力な選択肢であった。
一戸建てや収益住宅、ホテルおよびホステルの施工、既存の住宅やオフィスビルのリノベーションなどの事業から、企画・設計から施工、管理などのコンサルティング事業までを国内外で展開するTECRA。海外開発事業では、モンゴルやラオス、ウクライナなどの新興国を中心にベンチャー企業向けのスマートオフィスや外国人・富裕層向けのコンドミニアムの建設などの事業を積極的に展開している。
2014年にTECRAではモンゴルの子会社を設立するプロジェクトに着手し、2018年4月に100%子会社となるMaruima Mongolia LLC(現・TECRA Mongolia LLC)を設立した。TECRAの海外開発事業では「人々が本当に求めていることとは何か」という視点を忘れることなく、常に柔軟に新しいビジネスを考えて生み出し続けていくことを目指している。
しかし、モンゴルの子会社設立は、モンゴルの会計や税制に関する知識がほぼゼロの状態からのスタートだったという。税率が何パーセントなのかもわからない状況下での子会社の設立で、子会社の会計処理をいかに日本から管理できるかが最大の課題だった。そうした課題解決に向けていろいろと調べていく中で最終的に採用した会計サービスがGLASIAOUSである。
TECRAがGLASIAOUSに着目したのは、同製品のコンソーシアムのコアメンバーでもある東京コンサルティングファームからの紹介がきっかけだ。同社は新興国への海外進出支援の実績が豊富で、モンゴルの会計・税務の知見の提供や、GLASIAOUSを用いた有効な管理方法の助言などを行った。TECRAの経理部長によると「海外進出や海外ビジネスの分野において十分な経験やノウハウを有しているので非常に助かった」という。
モンゴルの会計処理は国際会計基準(IFRS)に対応してはいるものの、現金主義による会計処理が多い。そのため、日々のお金の流れをタイムリーに管理しておかなければ問題が発生したときに原因を追究できなくなる懸念があった。また特に課題として残ったのは言語や通貨の違いだ。当初、モンゴルの会計事務所への記帳代行も視野に入れていたが、新興国で信頼できる事務所を探すことに難航したことに加え、仮に委託した場合に全てがモンゴル側で完結してしまい、日本から管理不能になることは容易に想像できた。こうした要件を満たすことができるのが、多言語・多通貨に対応しており、なおかつ場所を問わずに管理できるクラウド型の会計システムだ。これを実現するサービスとして選ばれたのがGLASIAOUSだった。
TECRAの経理部長によると、コストの観点から社内決裁が通りやすいこと、機能のマトリックス表を作ったときに競合サービスが少なかったことが大きな決め手だったという。特に欧米や中国、韓国などの先進国で事業を開始するときには数多くの選択肢があるが、モンゴルのような新興国向けは選択肢が少なくGLASIAOUSが最有力の選択になる。TECRAの経理部長によれば「今後も新興国で新しい事業を開始する場合には、必然的にGLASIAOUSを採用することになる」とのことだ。
GLASIAOUSを採用した当初はモンゴルに経理担当者がいなかったため、日本で仕訳を入力していた。現地の経理担当者の採用後、日常の記帳業務を移管し、現在は日本側ではモンゴルで入力された会計データの管理をタイムリーに行うと共に、為替等一部の仕訳を追加することで、決算書を完成させている。子会社の成長段階に応じて業務の分担を変え、グループ管理の最適化も可能になった。
またモンゴルは為替変動が大きい国のため、細かい通貨設定が必要となる。それに対してGLASIAOUSは、一定の準備をしておけば日本円への換算が簡単で、またExcel上での連携も容易であるため非常に使いやすく、すでに効果が出始めている。
GLASIAOUSを採用していなかった場合、銀行のEB(エレクトロニックバンキング)で取引を確認する必要があるが、EBだけでは何にいくら使ったのかを正確に把握できない。GLASIAOUSを使うことで財務諸表から仕訳の個票までドリルダウンできるので、日本にいながら正しい科目で処理できるようになり、国境を越えた業務の分担と最適化を理想的な形で実現できた。
また月次決算処理を現地の会計事務所に頼んだ場合よりも時間短縮できることもGLASIAOUSを採用した理由の1つだ。現状ではモンゴルの経理担当者に3営業日でデータを入力してもらい、5営業日までに日本国内で月次決算を締め、連結処理ができるようになっている。
GLASIAOUSの比較・分析機能を利用することで、月次決算で入力された数百件の仕訳データの中からチェックが必要なポイントを容易に把握できることも月次処理の期間を短縮できた要因の1つだった。
そのほか細かな機能や操作性としては、頻繁に使用されるExcelへのインポート/エクスポートといった機能はもちろん、試算表や月別の月次出力などのデータを月別に並べて確認できる機能も重宝されているようだ。これによって前月・前々月と比べて異常値がないかをチェックする作業を効率的に行える。さらに、出力の形式を自由に設定できるのも他社
の会計システムには少ない機能だ。
TECRAの経理部長は、「GLASIAOUSの機能のすべてを理解しているわけではないので、いまある機能をフルに活用してより一層の効果を上げていきたいと思っています。今後も海外事業の拡大展開は主要事業の1つなので、先進国はもちろん新興国でも利用できる機能を充実させてほしいと思っています。次の海外子会社の設立までに、GLASIAOUSを使いこなしたいと思っているので、今後もB-EN-Gのサポートに期待しています」と話している。