VAT申告、法人税申告、会計記録の売上金額の整合性
タイではVATや源泉税の還付を申請すると税務調査が入ります。多くの在タイ日系企業のタイ人経理スタッフは税務調査の不安から還付を申請しないことを日本人MDに提言します。
また同じ在タイ日系企業の取引先からは還付の申請をしたらペナルティーで余計に税金を支払う事になってしまったなどの情報を入手し、還付可能金額がありながらも還付申請に躊躇します。
自社の経理レベルはどのぐらいなのか。税務調査が入った際に大きなペナルティーが発生するほど経理はガタガタなのか。まずは自社の経理レベルを確かめる必要がありますが、自社の経理レベルを確認するための第一ステップとしてはVAT申告、法人税申告、会計記録の売上金額の整合性を確認することが考えられます。
会計上の売上と法人税上の売上は収益認識基準として同じ発生主義を用いている事から特殊な要因がない限りは概ね一致します。
VATについては課税点について細かい取決めがありますが、大枠としてはモノの販売は会計基準と同じ、サービスの提供は現金主義で収益が上がることとなります。
従って、VAT申告のサービス売上について発生主義と現金主義の差が出る程度で、会計上の売上、法人税上の売上、VAT申告上の売上金額は概ね同じ水準になるはずです。
税務調査に備えて、売上金額の見直しを
しかしながら、過去に見てきた税務トラブルをかかえる在タイ日系企業の多くに、年間のVAT申告上の売上金額合計と法人税申告上及び会計上の売上金額に大きな差がありました。
税務調査においても、この売上金額の各税務申告上の整合性と会計記録との整合性は真っ先に調査されます。
VATの年間申告売上金額と法人税の申告金額に同じ期間にも関わらず大きな差がある場合、当然ながら差異の説明を求められます。
差異の理由が収益の認識基準によるものである事を資料の裏付とともに説明できれば何も問題ありませんが、会社側の回答が差異の理由不明となってしまいますと、いい加減な金額で税務申告をしている。会社の申告する数値はまったく信用できないとして、税務官の心証は非常に悪くなってしまい、必要以上に細かい調査の後の多額なペナルティーに発展してしまいます。
タイの法人税申告期限は決算日から150日後。12月決算であれば4月あたり、3月決算であれば7月あたりに作成をする会社が多く、ちょうどこれからシーズンとなります。
税金の還付を実施するか否かによらず、税務調査は5年から10年程度の周期で定期的に入ります。法人税の申告前に一度自社で売上の整合性をチェックし自社の経理がガタガタになっていないか確認してみてはいかがでしょうか。