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第4回:タイにおける税務専門家の不足問題

コラム
2018.03.13
第4回:タイにおける税務専門家の不足問題

タイにおける税の専門家とは?

 税務の専門家といいますと日本では税理士という資格があり、大企業から中小企業まで多くの会社の税務をケアしております。

 一方タイでは税理士に該当する資格がありません。会計系の資格としては財務諸表に対する監査資格を有する公認会計士と、財務諸表作成責任者として登録できるCPDという資格があります。

 ではタイでは公認会計士が税務をケアしているかといいますとそうではありません。日本と異なり全ての会社に会計監査が必要で監査需要の非常に高いタイでは公認会計士のほとんどが監査業務に従事しております。そして多くの監査業務に従事しているタイの公認会計士は税務を自分の専門分野であるとは認識していないように見受けられます。

 ではCPDが税務の専門家としての職務を担うのかといいますと、それも難しいものがあります。

 といいますのもCPDの資格には試験が必要なく、大学にて会計学を専攻し単位を取得していれば誰でも登録できてしまうハードルの低い資格であるからです。もちろん出身大学の単位取得の難易度や個人の大学時代の学習に対する勤勉さに差はありますが、CPD資格自体のハードルの高さとしては日商簿記3級程度ではないかとの印象を受けます。

タイの日系企業が抱えるリスク

 それでは誰がタイでは税務の専門家を担うのかといいますと、税務専門のタイ人弁護士が担う事になります。

 実際に多くのタイローカルの大企業は社内に税務専門の弁護士を抱えており、取引にかかる税務リスクや税務当局との交渉事をケアさせております。

 しかしながらそのような税務専門のタイ人弁護士は非常に希少で、ほとんどの日系企業や日系の会計事務所まで回ってきません。

 結果として、誰も税務面をケアしていないという状況になっている日系企業がタイには非常に多く存在してしまい、取引規模が大きいにも関わらず税務リスクに関してノーガードとなっている日系企業はタイ税務当局にとって大変いいお客様となってしまっております。

 また、ほとんどの在タイ日系企業に経理系の日本人駐在員がいないという点もそのような非常に危ない状況を現場で感知することを困難にしております。

 日本親会社の海外子会社管理部門の方や経理部門の方にはタイ子会社を管理していただく際、税務リスクついて特に留意をしていただき、誰がどうタイ子会社の税務リスクを管理しているのか。本当にその方は税務管理能力を備えているのか。今一度確認される事が望ましいと思われます。


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