令和4年4月以降開始事業年度より連結納税制度からグループ通算制度に移行しています。連結納税制度は企業グループを1つの納税主体とみなして課税し親法人がまとめて申告するという制度でしたが、グループ通算制度ではグループ内の欠損法人の欠損金額を他の法人の所得金額と通算するという仕組みは残しつつ、基本的には各法人が個別に法人税額の計算、申告を行う制度となっています。グループ通算制度では基本的に各法人で税額計算を行いますが、外国税額控除、研究開発税制についてはグループ全体で計算を行います。グループ通算制度における外国税額控除の計算のポイントは以下の通りです。
1.控除対象外国法人税額の集計
単体申告の場合と同様に各通算法人で外国税額控除の対象となる外国法人税等の額を集計します。通算グループ全体で税額控除と損金算入のいずれかを選択するため、税額控除を適用する場合はすべての法人で外国法人税等の額を集計する必要があります。
2.控除限度額の計算
単体申告の場合の控除限度額は当期の法人税額に国外所得割合を乗じて計算しますが、グループ通算制度の場合にはグループ全体の法人税額に、各通算法人の国外所得がグループ全体の全世界所得(欠損金相殺後)に占める割合を乗じて計算します。また、この計算の結果、控除限度額がマイナスになる法人がある場合(≒国外所得金額がマイナスの法人がある場合)は、上記の調整前の控除限度額に応じて、このマイナス分を各法人の調整前控除限度から控除します。
連結納税制度ではグループ全体の控除限度額を求めこれを各社で按分しましたが、グループ通算制度では他社の数値を用いながらもあくまで各社ごとに限度額の計算を行うため計算方法が変更になっています。詳細な計算は以下をご参照ください。
<参考リンク>
国税庁「通算法人に係る外国税額の控除の計算」
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/group_faq/78.htm
3.控除額の計算
上記1.と2.の金額を比較し、控除額を求めますが、グループ通算制度の場合も単体申告の場合と同様に3年間の控除限度超過額、控除余裕額の繰り越しが認められています。また、法人税から控除することのできなかった外国法人税等の額は地方法人税や法人住民税から控除することができる点も単体申告の場合と同様です。
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