
弊社での海外進出相談は増加傾向にあり、特にベトナム進出相談はコロナ禍以前の水準まで増加しつつあります。販路開拓、人材確保、生産委託先の選定等、進出の目的は様々となっておりますが、当初人員計画が5名未満などの小規模での相談が増加している印象です。今回はこれからベトナムに渡航される方の個人所得税の居住者判定に関してご説明いたします。
居住者と非居住者の判定
居住者、非居住者で課税対象範囲と税率が異なるので非常に重要となります。
居住者の条件は以下の (1) (2) いずれかに当てはまる場合となります。
(1) 暦年及び最初の入国日から起算して連続12ヶ月以内に延べ183日以上の滞在している者(入国日、出国日とも各1日としてカウントします)。
(2) 以下の何れかに該当する居住場所を有する者
a. 滞在に関連する法規に基づき登録された居住場所としての住居(レジデンスカード所有者)
b. 賃貸借期間が183日以上の賃貸契約に基づき、住居の目的として賃借された住居
居住者の課税期間は入国初日から連続する12カ月間のうち滞在期間が183日以上になる場合、課税年度はその入国初日から連続する12カ月間となり、2年目以降の課税年度は暦年となります。
注意いただきたいのは183日未満の滞在であっても (2) に当てはまれば居住者と判定される可能性がある点です。仮に (2) に該当しており、日本に居住している場合、日本での居住証明書を取得する必要があります。
なお、課税対象範囲(給与)に関して居住者は全世界所得(海外所得含む)に対して、非居住者はベトナム源泉所得に限定されます。税率に関しても居住者は5~35%の累進課税に対し非居住者は一律20%となっております。
個人所得税に関しては税務調査でも指摘されやすい項目となりますので専門家に相談することをお勧めいたします。