海外子会社へ貸付を行う際に移転価格税制の観点から独立企業間価格に基づいた適正な水準の金利を回収する必要があることはご存知の通りかと思いますが、この金利の設定方法について改正後の移転価格事務運営要領による運用が開始されています。
2022年6月に移転価格事務運営要領の一部改正が公表されました(「移転価格事務運営要領」の一部改正について(事務運営指針)|国税庁 (nta.go.jp))。改正後の運営要領は2022年7月1日以降に開始する事業年度分の法人税の調査について適用されますので、3月決算の会社の場合は2023年4月開始の事業年度から対応が求められます。
以前の運営要領では、銀行に照会した同条件で借入を行う場合の利率や国債等で運用した場合の利率といった簡易的な金利設定方法が認められていましたが、改正後では原則これらの方法が認められなくなり、現実に行われる比較対象取引や借り手である海外子会社の信用力に基づいた金利の設定が求められます。
あくまで独立企業間価格として適正かという判断になるため従前の設定方法を用いているという事実のみで金利の設定を否認されることはないと考えられますが、子会社へ多額の融資を行っている場合には指摘を受けた場合の影響額も大きくなることが想定されます。1度ご確認をいただけると良いかと思います。
<参考リンク>
国税庁「移転価格事務運営要領」の一部改正について(事務運営指針)
https://www.nta.go.jp/law/jimu-unei/hojin/kaisei/220610/01.htm
※ Youtube にて、海外進出に関わる国際税務、ベトナム及び 中国進出に関わる留意事項・会計制度・税制について解説しています! ご関心のある方は、ぜひご覧ください。
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