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第3回:タイにおける源泉税還付の難しさ
コラム
2018.01.22
第3回:タイにおける源泉税還付の難しさ

第3回:タイにおける源泉税還付の難しさ

タイでの還付申請は失敗に終わる可能性がある?!

 前回の投稿でも触れましたが日本では従業員への給与や弁護士などの個人事業者への報酬に際して、所得税の源泉徴収がなされる一方、タイにおいては法人税についても源泉徴収の制度がありその徴収範囲はとても広い点に特徴があります。

 こういった得意先から源泉徴収された金額は法人税の前払いとして扱われ、年度の法人税申告の際に年度の法人税額を源泉額が上回るようであれば当該金額の還付申請が可能となります。

 前払した法人税の過払い額を返還するというだけのロジックですので、日本の感覚として当然に還付がなされると期待されるこの源泉税の還付ですが、タイでは税務調査が発生し、特にほかに税務上指摘できる問題点がなければ、利益率が低く取引価格が妥当ではないことを理由として追徴が課され、追徴税額が還付金額を上回ってしまい還付が失敗に終わることが多いです。

 利益率が低く取引価格が市場価格より低いことを理由とする追徴というのは何とも不条理であるように感じますが、これにはタイ独特の事情があります。

タイ税務当局の事情

 タイローカルでは小規模なオーナー企業の数が非常に多く、租税回避を目的とした2重帳簿が横行している実態にあります。

 特に人件費については、親族を用いた架空の従業員への給与、賞与を計上するなどの脱税手法が幅広く行われており、慢性的に人手不足の状況にある税務当局の人的資源の面からも、実際に就労していないことを証明するというテクニカルな面からもこれにメスを入れることは非常に困難となっております。

 こういった背景があり、税収を確保すべく人件費率の高い事業に対しては、税務署により集計された事業の平均的な利益率から源泉税率が設定されております。言い換えれば、源泉税率はタイ税務当局にとって税収の期待値となります。

 源泉税の還付を申請することはタイ税務当局の税収期待値を否定することと同義ですから、期待値よりも納税額が少ない合理的な理由が必要となり、単純に利益率がタイ税務署の想定よりも低いからという理由では通らないところに源泉税の還付の難しさがあります。

 タイにおいては源泉税の還付は非常に難しいという認識のもと、余計な税務コストを発生させないためにも源泉税の還付を実施しなくてもいい利益率の水準を目指す必要があります。


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