
最近ではコロナウィルスの渡航への影響も緩和されてきており、異動によりベトナム子会社へ赴任された方もいらっしゃるでしょう。本稿では、海外事業経験の少ない会社からベトナム子会社へ赴任された方の現地給与の決定及びその給与の税務調査での取り扱い例についてお話したいと思います。
1.ベトナムでの給与の決定
ベトナムの子会社設立が初めての海外進出という会社など、あまり海外事業経験がない会社では、海外赴任に関する本社の規定自体がない会社も少なからずあります。それは、このような会社が海外進出する場合、進出場所の決定、現地パートナーの探索及び事務所又は工場設置などが優先され、赴任者の現地給与に関する事項はどうしても後回しになることが多いからです。
このように本社の規定がない中では、ベトナム子会社での現地給与はどのような基準で決定されることが多いのでしょうか。実際には、日本支給給与の〇%、ベトナム子会社の職位に応じた現地水準給与及びベトナムで1か月暮らせる程度の金額など、様々な基準で決定されています。
2.現地給与が現地の給与水準以下の場合の税務調査での取り扱い例
- ベトナム:ベトナム税務調査での現地給与金額が少ない旨の指摘
このような場合、現地給与の引き上げ及び追加納税を指導されることもあります。なお、このような指摘を受ける場合は、日本給与を合算し、全世界所得をベトナムで確定申告していないケースが多いです。
- 日本:日本税務調査での現地給与金額が少ない旨の指摘
日本の税務上、他法人への出向者給与について、本社と出向先の給与水準に差がある場合であって、出向先の職位に応じた適切な給与を出向先が負担している場合、その差額を本社が負担することは認められています。しかし、現地給与が少ない、すなわち、ベトナム子会社負担の給与が職位に応じた現地水準給与を下回っている場合、日本本社での給与負担額を否認される可能性があります。
現地給与の設定は慎重になさることをお勧めいたします。