平成30年の税制改正により、令和2年1月1日から投資信託の収益の分配等、特に外国資産に投資する投資信託等の分配金に対する課税について調整計算がされております。
改正前の令和1年12月31日以前は、外国資産に投資する投資信託につき、その外国資産から生じる収益に外国税が課せられ、その収益から外国税を控除した残額に、さらに日本の所得税(税率20.42%)を源泉徴収することとなっていました。そのため同じ収益の分配について外国税額と日本の所得税の
二重課税の状態となっていたのです。
令和2年1月1日からは、同外国資産から生じる収益の分配につき、日本の所得税を源泉徴収する際に、既に課せられた外国税額を考慮した金額を源泉徴収することにより、二重課税の調整を図られることとなりました。この調整された外国税額のことを、分配時調整外国税相当額と呼称します。
個人で特定口座(源泉徴収あり)により投資信託に投資されている方ですと確定申告の時期に証券会社から送られてくる「特定口座年間取引報告書」の「上場株式配当等控除額」の欄に金額の記載があるため、ご認識されている方も多いかと思います。同金額ですが、確定申告において上場株式等の配当を申告することにより、分配時調整外国税相当額を、その確定申告を行う年分の所得税及び復興特別所得税から控除することができます。
上場株式等の配当所得に関しては、一定の大口株主を除き、その特定口座ごとに申告不要制度を選択することも可能ですので、分配時調整外国税相当額を控除せずに、そのままとなっているケースもあると思います。申告分離課税として確定申告することを選択することにより、同分配時調整外国税相当額分の還付を受けられるケースもございます。総所得金額との兼ね合いもあると思いますが申告をご検討されてはいかがでしょうか。