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クロスボーダーM&Aの実務 (8)-損益計算書項目 (3)売上原価分析の留意点
コラム
2021.05.26
クロスボーダーM&Aの実務 (8)-損益計算書項目 (3)売上原価分析の留意点

 前回(※)は、日系企業によるクロスボーダーM&Aにおける損益計算項目のうち、売上高分析に係る留意点について解説した。

 第8回となる本稿では損益計算書項目のうち、売上原価の分析について解説を行う。

 なお、本連載コンテンツは、CaN International Groupが執筆した書籍「アジア進出企業の会計・税務 事業展開における実務マニュアル(清文社)」から抜粋、編集している。

※本稿末尾の「関連記事」参照

売上原価分析の留意点

 適切な売上原価の計算は、各セグメントにおける粗利率の分析、正常収益力の把握のために必須である。新興国企業においては、製造業で適切な原価計算がなされていないことや、卸売業や小売業で仕入品の不適切な単価評価や現品管理の不徹底によるずさんな在庫管理がなされていることが散見される。

 以下に、売上原価分析において重要なポイントを記載する。

(1) 業種別に異なる原価構造

 売上原価は、卸売業・小売業の場合は商品原価、製造業の場合は製造原価となり、それぞれに適したコスト分析が必要となる。

 商品の仕入価格は主に市場価格の変動、購買条件の変更等によって変動し、当該価格変化の影響を販売価格に転嫁できるか否かにより、収益獲得能力は大きく異なる。管理面においては、適切な単価・数量把握と現品管理がなされているかを確認する。特に在庫の評価方法(先入先出法等)、期末数量の確定方法によって売上原価は大きな影響を受けるため留意が必要である。

 一方、製造原価は、材料費、労務費、経費で構成されるが、原価構造を把握するためには各構成要素を個別に分析する必要がある。材料費は、購買先や購買物の特性、現地調達率等に着目し、当該材料の価格トレンドや、輸入品の場合には為替変動がどの程度製造原価全体に影響を与えるかについて感応度分析を行うことが有用である。

 新興国では一般的に労働者1人当たりの賃金が低いため、他の費目と比較して労務費の割合が低くなり、相対的に製造原価に占める材料費の割合が高くなる傾向がある。なお、労務費は一般的には固定費であるが、日雇い労働者への給与は変動費となるため、工場労働者の契約形態にも注目する必要がある。

 経費は、資本集約型の事業であれば、製造原価に占める割合が高くなるため、設備の減価償却費や電力・水道光熱費といったインフラ費用の分析が重要となる。一方、縫製業やシステム開発のような労働集約型の事業であれば労務費の割合が高くなるため、従業員数を把握し、1人当たり賃金が現地における一般的な範囲内に収まっているか、過去の実績、将来の動向について分析を行う。

(2) 製造活動における財務・非財務管理指標のレビュー

 新興国企業を取り巻く事業環境の変化は激しく、その影響は対象会社の財務・非財務管理指標に現れるため、各種分析結果から対象会社の事業環境を適切に把握することが求められる。たとえば、財務管理指標の資料のなかで実施されている原価差額の分析結果を調査することで、その発生原因が原材料の価格変動や賃金水準の変動に起因するのか、操業度に起因するのかといった点が整理され、対象会社の事業構造の特徴についての有用な情報が得られることがある。また、工程管理や在庫管理のなかで重要業績評価指標(KPI)による管理を行っている場合、歩留率、返品率、手待ち時間等の非財務管理指標を分析することによって、対象会社の強みや抱える問題点、原価削減の可能性に関する情報が得られる場合もある。

 

★関連記事★

前回の記事はこちら:クロスボーダーM&Aの実務 (7)-損益計算書項目 (2)売上高分析の留意点

続きはこちら   :クロスボーダーM&Aの実務 (9)-損益計算書項目 (4)その他損益項目の留意点


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