法人税や所得税に規定する外国税額控除については馴染みのある方も多いか
と存じますが、外国税額控除の規定は、相続税法にも定められています。確定
申告にて贈与税の申告をされた方もいらっしゃると思いますので、今回は相続
税法に規定する特に贈与税に関する外国税額控除を見ていきたいと思います。
日本の贈与税の制度については、例えば日本国内に住所を有している人が贈
与により財産を取得した場合には、その取得した財産が日本国内ではなく、海
外に所在していたとしても日本の贈与税の対象として課税されることになりま
す。
しかし海外には海外の贈与税に相当する制度が存在するため、例えば財産の
所在が海外にあることで、その財産所在地の国や地域において贈与税が課税さ
れることも考えられます。
このように、海外に所在する財産を贈与により取得した場合において日本と
海外の双方において贈与税(に相当する税)が課されることとなり、二重課税
の状態が発生することとなります。
この二重課税の排除を目的とした制度を外国税額控除といい、限度額の範囲
内で、日本の贈与税から、その海外において課された贈与税相当額を控除する
ことが認められています。
海外の国や地域によっては、贈与者側に贈与税を課す制度を設けているケー
スも存在し、海外財産につき贈与者側に課された贈与税について、外国税額控
除を認める事例が国税庁の質疑応答事例に公開されています。
(下記URLをご参照ください。)
国税庁Q&A「贈与税に係る外国税額控除」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/sozoku/16b/01.htm
上に記載の通り「限度額の範囲内」で控除することが認められているため、
他の贈与財産との関係により、その外国で納付した贈与税相当額を全額控除
することができるわけではないこと、ご留意ください。