【会員インタビュー】タイでの電子 Invoice・Tax Invoiceの発行に対応/ Invoice作成・承認の手間を省き業務の効率化に成功/CaN International

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【会員インタビュー】タイでの電子 Invoice・Tax Invoiceの発行に対応/ Invoice作成・承認の手間を省き業務の効率化に成功/CaN International
CaN International Groupは、海外事業及び進出コンサルティングに関して豊富な経験を有するコンサルタントを抱え、日系企業の海外事業活動をサポートしている。同グループのタイ拠点であるCaN International Advisory (Thailand) Co., Ltd. (以下、CaNタイ)においても、現地Big4出身者等の優秀なローカル人材を積極的に採用し、主に日系企業に対して質の高い会計記帳・税務申告等の会計税務サービスや豊富なM&A経験を有する日本人会計士によるデューデリジェンス、企業価値評価サービスを提供している。
CaNタイはビジネスエンジニアリング(B-EN-G)のクラウド型国際会計&ERPサービス「GLASIAOUS」を利用して、2020年にタイ国政府の電子サービスである”e-Tax Invoice & e-Receipt(Tax Invoiceと領収書の電子化)”の利用を開始した。
従来行っていた請求書や領収書の紙ベースでの作成・承認や郵送手続の省略に加え、保管コストが節約でき、さらにデータ化により検索が容易になる、など利便性の向上を実現している。
導入前の課題
請求書を郵送するため、時間や費用などのコストがかかっていた
紙面で保管しているため、書類探索に時間がかかっていた
Tax InvoiceやInvoice(請求書)へ手書きでサインする手間が生じていた
導入後の効果
電子化によりInvoiceのタイムリーな発行と送付コストの削減が可能に
帳票の検索性が大幅に向上、保管コストも削減、紛失リスクも0に
電子署名による承認を実現し、手書きでサインする手間を削減
※インタビューはタイと日本をつないでwebで行い、その画面を掲載しているため、写真が鮮明ではございませんがご容赦ください。
~電子化による紙の保管・送付コストの削減 必要書類へのサインが削減され、タイムリーなInvoice発行が可能に~
必要書類へのサインが、責任者への負担に
タイでは、日々の業務でサインが必要となる書類が多く、InvoiceやReceipt(領収書)、VAT申告にあたって必要となるTax invoiceについても紙による作成が主流となっている。
InvoiceやTax Invoiceを紙で作成する場合、タイの商習慣上、責任者がそれらに手書きでサインを行うため、手間がかかっていた。さらに、書類を保管する場所の確保や、保管コスト、郵送コストが発生するなどの課題が存在していた。
「売上計上のためにはInvoiceに、入金時には(*)VAT申告のためにReceipt/Tax Invoiceにそれぞれサインが必要となります。弊社は複写式用紙を使用しておらず、クライアント送付用と社内保管用を分けて作成、保管していたため、1つの請求につき売上から入金までにサインを4回(Invoice、Receipt/Tax Invoiceについて、それぞれ送付用・社内保管用に2枚ずつ)行い、かなりの負担になっていました」とCaNタイ現代表の高辻氏は振り返る。

2018年にタイ国政府が、将来的な電子決済の流通を視野に現行の”e-Tax Invoice & e-Receipt”の運用を開始し、同年、クライアントへの”
当時のCaNタイ代表であった小田氏(現CaN International FAS株式会社取締役)は、「当初は積極的に採用を検討する会社は少なかったですが、だからこそ、新しいサービスとして自社の強みになるし、またタイで事業を行う日系企業に伝票の電子化を広めて業務の効率化に貢献したいと考えました」と語る。
*タイの税法上、取引形態によってVAT申告の課税時期は異なり、必ずしも入金時が課税時期ではありません。個別の取引のVAT課税時期については、経理担当者、顧問会計事務所、税務署などへご確認ください。
e-Tax Invoice&e-Receiptとは
タイではVAT申告の際に証憑としてTax Invoice(やDebit note、Credit note)の原本を発行・入手する必要があるが、”e-Tax Invoice & e-Receipt”を利用すると、従来紙で受け渡しを行っていたTax Invoiceに替えて、電子署名入りのTax Invoiceの電子データ(e-Tax Invoice)を証憑としてVAT申告を行うことができる。
”e-Tax Invoice & e-Receipt”を利用する者は当該Tax Invoiceの電子データを税務署システムへアップロードする必要がある。なお、InvoiceやReceiptの電子データについては、税務署システムへアップロードする必要はないが、当事者間ではTax Invoiceと同様に電子署名入りの電子Invoice、電子Receipt/Tax Invoiceでやり取りを行うこととなり、各伝票の電子化を促進できる。
タイの”e-Tax Invoice & e-Receipt”は2012年に制定されたが、適用規模の要件が厳しい等で普及しなかった。2017年に制度が改正され、適用規模等の要件が撤廃されて現在に至る。改正後の制度は2018年から適用され、基本的にはVAT登録業者であれば、”e-Tax Invoice & e-Receipt”の申請を行うことで当制度を利用することができる。なお、改正時点においては2023年までに強制適用予定とのことであったが、現在では強制適用日は未定となっている。
なお、VATのみならず、e-Withholding Tax(源泉税の納付・申告及び源泉徴収票の送付を電子化)の制度も2020年より施行され、タイでも徐々に税務帳票の電子化が進んでいる。
紙文化という慣習が電子化への大きな課題に
“e-Tax Invoice&e-Receipt”の導入にあたり、CaNタイのプロジェクトメンバーからは、「自身の経験になる。新しいことに挑戦できることにやりがいを感じる」など肯定的な意見もみられた一方で、「今まではInvoiceやReceipt/Tax Invoiceを印刷してからサインを行い、保管していたため、紙での保管は今後必要なくなり、これらの印刷は必要ないという点について管理担当者に意識改革をしてもらうことに苦労した」と高辻氏は語る。
タイでは古くから紙文化が根付いていることが大きな課題であり、また、税務調査の際に紙が必要といわれるケースも多く、完全な電子化は未だ難しいという。

他にも導入にあたっては、「税務署が指定する形式でデータ出力をすることが必須であり、要件設定のミーティングやクライアントへ送付する電子Invoice、電子Receipt/Tax Invoiceのレイアウト調整に時間がかかった」、と小田氏は当時を振り返る。
「弊社では、GLASIAOUSを利用して会計記帳、各伝票の作成を行っていますが、電子署名、顧客への電子Invoice、電子Receipt/Tax Invoiceの自動送付、電子データの税務署システムへアップロードは別のITベンダーのe-Tax Invoice発行システムを使用しています。
そのため、e-Tax Invoice発行システムへインプットする電子データについて、必要な要件を満たすようにGLASIAOUSから電子データをアウトプットする必要がありました。この点、GLASIAOUSでは出力項目やレイアウトをフレキシブルに変更でき、また出力形式をExcel(xlsx,xls)、PDF、CSVから選ぶことができるため、ベンダーが必要とするインプットデータや電子Invoice、電子Receipt/Tax Invoiceのレイアウトをスムーズに作成することができたと思います。
必要な要件を満たすために、社内でGLASIAOUSの顧客、サプライヤーマスタ登録ルールを整備し、既に登録されている住所などについてはマスタを調整することでこれらの課題に対応することができました。」
e-Tax Invoice発行の流れ
データ入力から電子Invoice発行までの流れは以下の通りである。
①入力担当者がGLASIAOUS上で売上データを入力
②責任者がGLASIAOUS上でデータを承認
③請求データをGLASIAOUSからダウンロードし、e-Tax Invoice発行システムにアップロード。e-Tax Invoice発行システム上でInvoiceの電子データが作成される
④e-Tax Invoice発行システムで宛先を選び、送付ボタンを押すと顧客へ電子Invoiceが添付されたメールが自動送付される
入金後、e-Tax Invoice発行までの流れは以下の通りである。
①入力担当者がGLASIAOUS上で入金データを入力
②入金データをGLASIAOUSからダウンロードし、e-Tax Invoice発行システムにアップロード。e-Tax Invoice発行システム上でReceipt/Tax Invoiceの電子データが作成される
④e-Tax Invoice発行システムで宛先を選び、送付ボタンを押すと顧客へ電子Receipt/Invoiceが添付されたメールが自動送付される。また税務署システムへのアップロードボタンを押すとe-Tax Invoiceの情報は税務署システムに自動送付される。
電子承認による業務効率化 時間と費用のコスト削減に
“e-Tax Invoice&e-Receipt”の導入効果について、高辻氏は以下のように語る。
「必要書類へのサインがなくなったことにより、今まで月末にまとめて行っていたInvoiceの発行をタイムリーに行えるようになり、また外出先でも承認ができるため業務の効率化に役立っています。また、帳票類が画面上で一覧表示できるため、検索がしやすくなり、Invoiceの発行漏れや送付漏れなどのチェックが容易になりました。紙で作成、送付する場合は住所や適用年度の書き間違えなどのリスクが存在する他、書き間違えが発生した際にはクライアントとやり取りが必要になるといった手間がかかっていましたが、電子化により効率化されました」
また小田氏も電子化のメリットについて「どこからでもデータの確認や承認ができるということは、担当者が海外にいる企業にとって大きなメリットとなります。一日に発行するInvoiceやTax Invoiceの枚数が多い企業の場合、電子化することで印刷や送付にかかるコストを大きく削減でき、場合によっては人件費の削減にも貢献できます。さらに業務の効率化にも寄与するので、各担当者・責任者がコア業務に集中できる時間が増えることにもつながると思います」と語っている。
今後の展望にいて、高辻氏はこう語る。「”e-Tax Invoice & e-Receipt”を実際に自社で使ってみて、その利便性を強く感じています。紙文化が根強いタイでも、電子化は今後も進んでいくでしょうし、実際に各種税制の電子化は徐々にですが進んでいます。今後も情報のキャッチアップをしながら業務の効率化を目指していこうと思います。」

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※タイのe-Tax Invoice & e-Receipt のお問い合わせもこちらのリンク先からできます
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