新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、申告所得税(及び復興特
別所得税)、贈与税及び個人事業者の消費税(及び地方消費税)の申告期限・
納付期限が令和2年4月16日まで延長され、申告所得税及び個人事業者の消費税
の振替納税の振替日についても延長されましたが、現在は各地での感染拡大状
況を鑑みて令和2年4月17日以降であっても柔軟に確定申告書を受け付けること
とされています。
今回は個人所得税の確定申告に関連して、調査で申告漏れを指摘されやすい
外貨預金と海外預金について、お伝えしようと思います。
外貨預金で申告漏れが発生しやすいのは、為替差益です。例えば、1ドル=
100円で1万ドルを購入し、その後1ドル=120円で1万ドルを売却した場合、1万
ドル×20円(=120円-100円)=200,000円の為替差益が生じます。この為替
差益は雑所得として確定申告が必要となりますが、通貨が変わっただけで所得
が生じているという認識が少ないため申告漏れが発生しやすい事項です。
なお、逆に為替差損が生じた場合、他に雑所得があればそれと相殺すること
ができますので、申告した方が有利という場合もあります。
次に、海外預金で申告漏れが発生しやすいのは、預金利息です。日本口座で
の預金利息については、入金時に所得税と住民税が源泉徴収されているため申
告不要ですが、海外口座の預金利息については、日本の所得税・住民税の源泉
徴収がされていませんので、利子所得として確定申告が必要となります。預金
利息=申告不要という感覚がありますので、申告漏れが発生しやすい事項です。
また、海外で現地の税金が利息から源泉徴収されている場合は、確定申告に
て外国税額控除を適用することにより、二重課税を取り除くことができます。
以上のように為替差益や海外預金利息は申告漏れが発生しやすいですが、金
額が少なければ申告不要となる場合もあります。例えば、1ヶ所給与のサラリー
マンの方は、給与所得と退職所得以外の所得合計が20万円以下の場合には確定
申告が不要となります。
とはいえ、医療費控除やふるさと納税などにより確定申告する場合には、20
万円以下の為替差益なども含めて申告することになりますので、注意が必要で
す。