
令和2年度の税制改正大綱が閣議決定され、その中で国外居住親族の扶養控
除が見直されることが発表されています。平成28年より適用されている現在の
国外居住親族に係る扶養控除等の適用から、さらにその要件について厳しく細
分化されることとなります。そちらについてご紹介させていただきます。
現在の国外居住親族に係る扶養控除等の適用については、国外に居住する親
族との関係性を示す「親族関係書類」と、実際に送金を行っていることを証明
する「送金関係書類」を、源泉徴収義務者へ提出することを要件としており、
年齢による要件はありませんでした。当改正では、年齢による要件が追加され
ており、30歳以上70歳未満の国外居住親族については、上記2つの書類の提出
があっても、一定の要件を満たす者以外については扶養控除は適用されないこ
ととなりました。
上記の通り30歳以上70歳未満の国外居住親族については、一定の要件を充足
する必要があります。その要件は下記の区分に応じ、次の通りです。
1.留学生等の場合
留学により国外居住となった親族については、「親族関係書類」「送金関係
書類」のほかに、外国政府又は外国の地方公共団体が発行した留学の在留資格
に相当する資格をもって在留する者であることを証する書類(留学ビザ等)を
提出、提示することが要件として加わっています。
2.障害者の場合
国外居住親族が障害者の場合には、従来通り「親族関係書類」「送金関係書
類」の提出により扶養控除の適用が受けられます。
3.上記1・2以外の場合
上記の1及び2のいずれにも該当しない国外居住親族については、その国外
居住親族に対し「送金額が38万円以上」であることが要件として加わっており
ます。提出される「送金関係書類」により、その送金額の合計が38万円以上で
ある必要があります。
当改正については、令和5年分以後の所得税について適用されることが予定
されております。適用開始時期にご留意ください。