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フィリピン2020年の行く末
コラム
2020.03.05
フィリピン2020年の行く末

今回のトピックは「フィリピン2020年の行く末」についてです。

 

2019年11月22日、フィリピン内国歳入庁(BIR: Bureau of Internal Revenue)より、「2020年優先プログラム(BIR Priority Programs)」が公表されました。BIRは、毎年優先的に実施する項目を発表しており、フィリピン経済に大きく影響してくる内容のため、フィリピンにてご活躍される日系企業の皆様もチェックしてみてはいかがでしょうか。

 

BIRからの発表は、「RMC No.1-2019」といったタイトルで下記の公式HPにて公開しております。

当該優先プログラムはRMC No.123-2019ですので、原文が気になる方は下記リンクよりアクセスください。

https://www.bir.gov.ph/index.php/revenue-issuances/revenue-memorandum-circulars/2019-revenue-memorandum-circulars.html

 

1.BIRの主眼

今回の発表では全部で20の項目が発表されました。

項目数も多いので、本ニュースレターでは大部分を割愛しますが、全項目をご閲覧されたい方は、上記のリンクよりBIR公式HPにアクセスして頂ければと思います。

概して言えるのは、フィリピン政府は依然、税務コンプライアンス遵守と税徴収の徹底のため、税務調査強化を主軸に据えている、ということでしょう。

その中でも気になる項目を下記にご紹介してまいります。

 

Run After Tax Evaders(RATE)Program

当該項目は、その名が表す通り、フィリピンでの脱税者撲滅を最優先にしていることが伺えます。RATEは、フィリピンにおけるBIRと、DOJ(Department of Justice/司法省)との共同プログラムであり、脱税は犯罪行為であり、違反者には罰を与えるということを再度徹底していくためのものです。

当該プログラムによって、脱税者に対するペナルティが今後厳格化していくことが伺えます。

 

Intensified Audit and Investigations

当該項目はフィリピンにおける税務コンプライアンスのチェックを強化していくものです。例年通り、税務調査を強化していく方針が伺えます。また、この項目の中で、「CAATs: Computer Assisted Audit Tools and Techniquesの活用を最大化していく」といった内容も明記してあります。CAATsとは、ITを活用した監査の分野において成長している技術であり、フィリピン税務調査にこれが活用されることによって、より多くの分析データを活用できることになり、裏を返せば、今まで担当官の判断に依存していることが多かった税務調査結果が、信頼性のあるデータが裏付けられることによって、その内容のクオリティー向上が期待できるのではないでしょうか。

 

Automation of Withholding Tax BIR form 2307 and issuance of withholding tax certificates

フィリピンにおける源泉徴収とBIR form 2307の発行を自動化し、税徴収の抜け漏れを無くしていく方針を定めた項目です。BIR Form 2307とは、源泉税の納付証明書の役割を持ちます。源泉税の申告書はBIR form 0619Eというものが別途存在するのですが、その源泉税は所得受領者から徴収しているものになるので、その受領者としても納税した証拠が欲しいということです。なぜならば、その受領者としては、当該源泉税はCWT(Creditable Withholding Tax)として期末に法人税から控除可能なのですが、このBIR Form2307が無ければ控除が認められないといったケースがあるからです。

BIRは、この一連のプロセスを自動化し、源泉税を早く、多く、確実に徴収できるようになることから、税収によるキャッシュフロー安定化を図っていることが伺えます。

 

2.過年度優先プログラムとの比較

移転価格の優先順位

近年、移転価格の法整備が進むインドネシアやタイなどASEAN諸国と比べて遅れているフィリピンですが、これまで移転価格文書にかかる通達や事前確認制度(APA‐Advance Pricing Agreement)などの移転価格関連の整備は行われていませんでした。

一方で、2019年8月に「移転価格調査ガイドライン(RAMO No.1-2019)」が公表

されましたが、移転価格調査に関しては本優先プログラムでは触れられていません。

移転価格調査の今後の動向については、日系企業にとって非常に関心の高い論点ですが、一般的な税務調査の強化項目に含めているのか、移転価格の優先度合いが下がるという意味なのかは不明ですが、社内での移転価格文書化への対応含めBIRの動向を注視する必要があります。

 

VAT還付などの審査プロセス迅速化

税制改革第一弾(TRAIN)で規定された「電子請求書・電子領収書、電子売上報告システム」に関連して、BIRは企業の売上等の情報をリアルタイムで把握出来る効率的な仕組みの構築を進めるとしており、タイムリーで適切な税収確保が出来る体制を目指す意向があるようです。

しかし、従来から審査プロセスに膨大な時間がかかっているVAT還付・租税条約等のBIRルーリング・CAS(コンピューター会計システム)登録などに関しての個別の言及はないため、企業側にとって本優先プログラムにより実務的な運用がどの程度改善されるのかは不透明といえます。

※2020年2月6日、BIRよりCAS申請のPTU(Permit to Use/許可証)発行の一時停止が発表されました。(RMC:Revenue Memorandum Circular No. 10- 2020)

申請プロセスを各地のRDO(Revenue District Offices)にて行える仕組み構築をしているためかは不明ですが、事実上CAS申請は行えないのが現状です。

 

3.今後の展望

2020年の優先プログラムでは、2019年5月に公表されたBIRの5ヶ年戦略計画(BIR Strategic Plan 2019-2023)を反映した内容となっており、徴税目標の達成のほか、フィリピン政府が目指す方向性(事業環境の改善、情報保護の強化)を盛り込んだプログラムとなっています。

そして海外進出した日系企業最大の脅威はやはり税務調査といっても過言ではないですが、フィリピン政府は依然その強化に対する姿勢が強いということが伺えます。

マニラ近辺の企業はもちろんのこと、セブにおいては税務調査が実施されているケースは現状さほど多くありませんが、今後調査地域の主軸が切り替えられる可能性もゼロではありません。

このような状況の中、普段から企業コンプラインアンス遵守に対する姿勢、取組を強化していき、いつか訪れるかもしれない最悪の事態に、今この瞬間から日備えていくことが経営者である皆様の使命であると言えるのではないでしょうか。

 

以上、最後までお読みいただき誠にありがとうございました。

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