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インドの内部通報制度について

コラム
2020.01.09
インドの内部通報制度について

いつもお世話になっております。東京コンサルティングファームです。

今回はインドの内部通報制度について解説します。

 

1.内部通報制度とは


最近、インドに工場を構える日系企業、多くのインド人スタッフを抱えるJV企業などから、「内部通報制度」のご相談を多く頂きます。

「内部通報制度」とは、ほかに「ヘルプライン」、「ホットライン」、「コンプライアンス相談窓口」、「ホイッスル・ブローワー・プログラム(警告を発する人のための制度という意味)」などの名称で呼ばれており、会社の損害に繋がる不正や不祥事などを滞留なく経営トップや監査委員会に報告するために、通常の報告経路の他に、会社の内部・外部に専用の通報窓口を設ける仕組みです。

組織において、報告や相談は一般的に直属の上司に対して行いますが、その上司が不正に関与している場合、部下にとってはその報告が非常に困難なものとなります。そのような状況を防ぐためにも、不正の事実を知った者が報告・相談できる、独立した窓口が必要になります。

内部通報の仕組みを徹底することで、組織内外の問題が透明化し、深刻なトラブルや労働紛争等を未然に防ぐ事につながります。内部通報制度は不正の早期発見に最も効果的な手段です。

内部統制構築や内部監査と比較すると問題を未然に防ぐという観点からも経済的合理性があると言えます。

 

また、内部通報と類似した言葉に「内部告発」があります。

内部告発とは、内部通報制度等の報告体制が存在しない、もしくは上手く機能していない場合に、従業員が組織外である当局や報道機関等に直接不正等を告発するというもので、内部通報制度とは大きく異なります。

内部通報制度とは従業員から組織の不正に関する報告を促す仕組みであり、内部告発のような最悪の事態を防ぐ有効的な手段となります。

 

2.内部通報制度の運用上のポイント

 

インドビジネスにおいて、ローカルスタッフと外部業者間の不正行為、細かいミスの隠蔽、経理不正処理といった問題が起きるのは珍しくありません。インド人と我々には言語の壁もあり、日本人駐在員がそのような不正を見つけるのは非常に難しいといえます。

また、上司や同僚の不正を見つけた者が、その事実をトップの日本人に伝えるということは考えにくいです。

そのため、インド人社員の不正や不満が、後々長期のストライキ、政府による不正の指摘、資金流失、従業員の同時離職など重大な問題につながるケースがよくあります。

そこで、早期に内部の問題を見つけ出すためにも、内部通報制度を設けることは重要です。

また、内部通報制度は形だけ導入するだけではあまり意味がなく、効果的に運用されて、本来の価値を発揮します。既に内部通報制度を導入していても、制度自体を上手く活用できていない会社も多くみられます。内部通報制度を機能不全に陥らせないためにも、ここでは内部通報制度の運用上のポイントを挙げさせていきます。

 

①守秘義務の徹底(機密性)

従業員によって通報された通報記録は厳重に管理され、機密性を保持されなければなりません。

さらに、その通報に関連する事実を関係者に確認する調査の際にも、通報者が特定されない調査方法が必要不可欠となります。

安易な調査体制でヒアリングを行うと、通報者が特定されるリスクがあり、仮に特定された場合、通報者は間違いなく不利益を被ります。

このような守秘義務が徹底して守られなければ、内部通報制度を利用する社員はいなくなり、制度が形骸化してしまう恐れがあります。

 

②報復の禁止(ゼロ・ハラスメント)

内部通報をしたとしても、その通報に関連当事者である上司から報復が絶対起きないという信頼感を社員に持たせる必要があります。

この信頼感醸成のためには経営トップである社長のメッセージや内部通報制度に対するコミットメントが必要不可欠です。

経営トップ自らが、経営幹部及び全ての従業員に向け、明確なメッセージを継続的に発信することで、従業員が安心して通報できる環境を整えることができます。

 

③外部窓口の利用(匿名性)

外部窓口として弁護士事務所やコンサルティング会社等に通報窓口を設置することも効果的です。

何故なら、外部窓口であれば、実名で通報・相談したとしても、通報者の氏名や連絡先を伝えない限り、通報者の匿名性を維持できるためです。このような外部窓口があると、従業員としても内部通報に対する安心感を得ることができます。留意点としては、外部窓口に対しても秘密保持のための措置を講じることです。

さらに、中立性や公平性に疑義が生じるおそれ又は利益相反が生じる恐れのある外部機関の起用は避ける必要もあります。

 

④社内教育・研修の実施

社員の立場としては、自らが他の社員の不正を通報することによって、自分自身の不利益の可能性を感じる場合があります。

さらに、内部通報という他人の不正を暴く行為に対する心理的抵抗感も存在します。このような内的要因を払拭するためには社内教育が効果的です。

不正行為者1人のためにレピュテーションが毀損した場合、それ以外の圧倒的多数が不利益を被る事実を再確認し、むしろ職場の仲間を守るため、不正の事実を知った場合は積極的に通報するよう動機づけをすることが重要です。

 

⑤アンケート調査

内部通報制度が活性化しない原因として、従業員に内部通報制度の利用の仕方が分からないという認知不足があります。

定期的にアンケート調査を実施して、社員側に理解不足の点があれば、認知度・利用意欲改善に向けた施策を打ち続けることが重要です。

 

弊社では不正や汚職、ハラスメントといった緊急性の高い問題から、労働環境における小さな不満まで全て受け取り、報告、問題解決のご支援を行っております。インド法人の内部不正に関するお困りごと等ございましたら、いつでもご連絡くださいませ。

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