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平成31年度「移転価格税制の改正について」
コラム
2019.03.31
平成31年度「移転価格税制の改正について」

移転価格税制とは

法人と海外の関連企業(国外関連者)との取引価格が通常の取引価格(独立企業間価格)と異なる場合には、その国外関連者との取引が独立企業間価格で行われたものとみなして所得計算し課税することにより、海外への所得移転を防止する制度で、日本は昭和61年に創設されています。

 

今回の改正の背景

日本における独立企業間価格の算定方法は、OECDの「移転価格ガイドライン」に則って、

独立価格比準法、再販売価格基準法、原価基準法、取引単位営業利益法、利益分割法(及び各算定方法に準ずる方法・同等の方法)

とされていました。

無形資産取引について、BEPS行動計画8:適正な移転価格の算定が困難である無形資産を用いたBEPSへの対応策では、信頼し得る比較対象取引が把握できない場合、DCF法が有用になり得るとして記載されていますが、日本の現行制度ではDCF法は法令上の取扱いが明らかではなく、通達等の整備も行われていないため、納税者・税務当局双方にとって不確実性が高いとしてDCF法は独立企業間価格の算定方法として明記されていませんでしたが、BEPS行動計画に則って見直しが行われることになりました。

 

今回の税制改正大綱の概要

① 移転価格税制の対象となる無形資産の明確化

② 独立企業間価格の算定方法の整備(DCF法の追加)

③ 評価困難な無形資産取引に係る価格調整措置の導入(いわゆる所得相応基準に導入)

④ 移転価格税制に係る更正期間の延長(現行6年→7年)

⑤ 差異調整方法の整備(四分位法の整備)

上記のうち、①から③について追記します。

 

の無形資産について税制改正大綱では、「移転価格税制の対象となる無形資産は、法人が有する資産のうち、有形資産及び金融資産(現金、預貯金、有価証券等)以外の資産で、独立の事業者の間で通常の取引の条件に従って譲渡・貸付け等が行われるとした場合に対価の支払が行われるべきものとする。」と記載されています。現行の移転価格事務運営要領では、工業所有権等その他技術の権利、著作権、無形固定資産、顧客リスト、販売網等の重要な価値のあるものとされていますが、この改正により、例えば事業譲渡の際に価値があると判断されるものなど、適用範囲が広がると考えられます。

 

については、DCF法の導入により、国税当局の推定課税でもDCF法の使用ができるようになりました。ただ、DCF法は価値の見積が変動しやすく、予測キャッシュフロー、成長率、割引率、無形資産の耐用年数などが客観的で信頼性の高い定義ができるかが問題です。

 

について税制改正大綱では、評価困難な無形資産取引の独立企業間価格の算定の基礎となる予測と結果が相違した場合に、国税当局が算定した金額を独立企業間価格とみなして更正等をすることができる(ただしその相違が20%以内である場合を除く)とされています。適用免除要件として、算定の基礎を記載した書類や相違する原因となった事由が災害等でありその発生の予測が困難であったこと等を記載した書類、取引開始から5年間の予測収益と実際の収益との差額が20%以内であることを証する書類を国税当局に提出を求められた際に提出した場合は適用されないとされています。

 

以  上


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