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もし工場長が企業経営者になったら (フィリピン編)【第5回】
コラム
2018.12.14
もし工場長が企業経営者になったら (フィリピン編)【第5回】

工場長からフィリピン法人社長に就任した場合、会計や税務の知識が不足していたとしても、経営者になったからには経営全般に対して責任を負い、自社の客観視を行う必要がある。客観視のためには財務報告の把握が必須である。またフィリピン法人の経営者は、フィリピン法人の事業の責任を負っているとともに、その事業の結果を親会社に財務報告として説明する必要がある。

フィリピン法人の経営者として、会社が儲かるように経営していくことが求められている。この「儲かる」という言葉、適切に理解されているだろうか。例えば、売上や利益が伸びているだけで、儲かっていると勘違いしていないだろうか。この儲かるという言葉をよく理解していないと、売上・利益ばかりに目が向いてしまい、経営の意思決定を誤ってしまう。例えば、甲社の利益は20億円、乙社の利益は3億円だとする。一見、甲社の方が儲かっていると思うが、本当にそうであろうか。

新規の設備投資をしたら気をつけるべきこと

日系企業のフィリピン法人であるA社の決算、当期は新規の大規模な設備投資を行い、総資産は前期の10億円から15億円に、売上は前期の10億円に対して当期は13億円を達成、利益は前期の10百万円から当期は12百万円を達成。フィリピン法人の社長は安心して決算報告したところ、親会社担当者から「収益性が悪化している」と指摘された。売上や利益が伸びていることを説明しても納得してもらえなかった。
果たして、そんなことはあるのだろうか?そもそも、会社の収益性とは何であろうか?イメージしやすい言葉で言い換えると、収益性とは「会社が儲かっているか?」ということである。

儲かっているとは?

儲けを考える場合、売上や利益が増えていれば儲かっているとイメージする方が多いかもしれないが、必ずしもそうではない。
例えば、株式投資の話をしていて、去年は100万円、今年は200万円稼いだという話があったとする。「リターン」(利益)は100万円から200万円に増えていた(200%増)としても、「投資したお金」が去年は1,000万円であったのに対して、今年は1億円となっていた場合(1,000%増)、去年より今年が儲かっているといえるであろうか。
儲かっているかを判断するには、「投資したお金」と「リターン」の両方の金額を把握し、どれだけ「投資したお金」を使って、どれだけ「リターン」を生み出したのかを分析する必要がある。
先ほどのA社の話に戻ろう。売上は30%(3億円)増加、利益は20%(2百万円)増加したわけだが、それ以上に大規模な投資:50%(5億円)増加、を行っていた。そのため、親会社は50%の売上増加、利益増加を期待しているわけである。フィリピン法人社長はそのことを理解した上で経営意思決定・決算報告をする。これは、「本当に会社が儲かっているのかどうか」を明確に把握できている必要があることを意味する。

「あなたの会社が儲かっているか?」収益性を判断するためのシンプルな方法

「あなたの会社がどれだけ儲かっているのか?(収益性)」を判断するのは、とても簡単である。財務諸表に「投資したお金」と「リターン」が書いてある。皆さんも一緒に会社の財務諸表を確認して欲しい。投資したお金は「貸借対照表の総資産(左側にある資産金額の総合計)」、リターンは、「損益計算書の利益額(税引前当期純利益)」が示している。
どれだけの資産を使って、どれだけの利益を生み出したのかを分析するため、「リターン(損益計算書の利益)」を「投資したお金(貸借対照表の総資産)」で割ってみてほしい。この比率を総資産利益率(ROA)という。

総資産利益率(ROA)について、10%以上を目標にするようアドバイスしている。これは、会社に投資したお金を、仮に途上国の国債等に投資した場合5%程度のリターンを得ることが可能であるため、国債等の投資よりもリスクを抱えて事業をしている限りは10%程度確保したいという趣旨である。実際は、そんな単純な話ではないが、あくまで目安である。
ただし、日系企業のフィリピン法人は、一製造拠点に過ぎず、フィリピン法人が利益を確保せず、日本の親会社で利益を確保するスキームを取られているケースも多くあるので、フィリピン法人だけではなく、グループとして、この分析をする必要がある点、補足しておく。

規模の大きい甲社 vs 一定規模を維持する乙社

 

確かに規模を見れば甲社の方が圧倒的に大きいが、甲社の方が儲かっているといえるだろうか?上記の総資産利益率(ROA)に当てはめて考えてみてほしい。次回、一緒に検証していきながら、「収益性」への理解を更に深めていきたい。


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