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商社設立手続きの概要と留意点~その1・ベトナムの商社の定義と需要~(新通達No.06/2019/TT-NHNNも踏まえ)

2020.02.10
AGS

1.はじめに

 2007年1月11日に世界貿易機関(WTO)へ正式に加盟したことで、WTOサービス分類の12分野のうち11分野、155の小分野のうち110の小分野について、外資への段階的開放が公約されました。その結果、流通分野において2009年1月1日から外資100%での卸売業及び小売業参入が可能となり、外資参入が大きく開放されたといえます。

 この動きを受け、投資先として、より一層、商社形態による進出が拡大基調の流れにあります。チャイナプラスワンとして、日本への輸出のみならず、ASEAN諸国への輸出、ベトナム国内販売というスキームも増加しています。取扱商品は鉄鋼、機械、繊維、紙、化学品、医薬品、食品など多岐に渡りますが、世界貿易機関(WTO)への加盟に加え、2016年2月に環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に参加したことも受け、特に繊維業界における進出増加が近時の傾向としては顕著といえます。

 本記事にて、現在多くの企業が進出形態として選択している商社の設立手続きについて、その概要と留意点を説明いたします。

 

2.商社とは

(1)ベトナム法令上の「商社」の定義

 まず、そもそもベトナム法令上、「商社」による設立とはいかなる設立形態を指すのでしょうか。実はベトナム法令上、商社を明確に定義する規定は存在しません。しかし、「商品販売及び商品販売に直接関連する活動」の定義として、販売、輸出、輸入及び商法の第4、5、6章に規定されているその他の活動という規定は存在し(政令23/2007/NĐ-CP第3条第1項)、事実上、当該規定が商社を定義するものとして捉えることができます。その上で、輸出権、輸入権、卸売権、小売権の定義として、明確に下記の規定があります。

(2)輸出権

 ベトナムで商品を購入する権利及び輸出に関する手続きにおける責任負担及び実行のため、自己の名で輸出品の申告書を提出する権利をいいます(政令23/ 2007/NĐ-CP第3条第3項)。

(3)輸入権

 販売権を有する商人へ販売するために外国からベトナムに商品を輸入する権利及び輸入に関する手続きにおける責任負担及び実行のため、自己の名で輸入品の申告書を提出する権利をいいます(政令23/2007/NĐ-CP号第3条4項)※。 ※なお、輸入権には、ベトナムが加盟する国際条約又はベトナム法に他の特別な規定がある場合を除き、ベトナムにおける商品流通システムへの参加やネットワークを構築する権利は含まれておりません(通達08/2013/TT-BCT号第3条第4項)。

(4)販売権

 ベトナムの法律に従う卸売、小売、代理店、フランチャイズの活動を示し、販売活動を直接実行する権利で卸売件と小売権に分類されます(政令23/2007/NĐ-CP第3条の第5,6項)。
 a. 卸売とは、商人及び他の組織へ商品を販売する活動をいいます(政令23/2007/NĐ-CP第3条第7項)。 最終消費者へ直接販売する活動は含まれていません。  

 b. 小売とは、最後消費者へ直接販売する活動をいいます(政令23/2007/NĐ-CP第3条第8項)。

(5)ライセンスの種類

 いわゆる外資企業(法律67/2014/QH13第3条第17項)による商社設立の場合ライセンスとして、まず投資登録証(GIẤY CHỨNG NHẬN ĐĂNG KÝ ĐẦU TƯ, Investment Registration Certificate,通称「IRC」)、企業登録証(GIẤY CHỨNG NHẬN ĐĂNG KÝ ĐĂNG NGHIỆP, Enterprise Registration Certificate,通称「ERC」)の取得が必要となります。ERCの発行日が法人登記完了日となり、ERCの取得をもって法人設立日となります。  なお、ERC取得後、小売を行うためには、現時点では、ほぼ全ての市・省において、運営許可証(GIẤY PHÉP KINH DOANH, Business License,略名「BL」)の取得が義務付けられています。運営許可証には小売の対象となる品名が記載され(以前はHSコードの記載であった。現在も、市・省によってはHSコードの記載を求める管轄当局もある可能性がある為、申請前には管轄当局への事前確認が必要)、ライセンス上に記載される品名の取引でなければ、ライセンス外活動となることはもちろん、仕入れに掛かる費用を損金として参入できません。

次回(4月10日更新予定)は、各ライセンスの取得手続の概要と留意点について説明いたします。

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本記事の執筆者
丸尾 一希
丸尾 一希

日本国行政書士
慶應大学法学部卒業後、明治大学法科大学院にて法務博士号を取得後、2015年よりAGSに参画。主に企業法を専門分野とし、ベトナムでの会社設立の登記手続き・ライセンス関係・滞在関係の手続きを数多く手掛ける。ベトナムと日本の各種手続きの違いについて精通。
担当業務
現地法人・駐在員事務所の設立・閉鎖、事業追加
ライセンス、WP(労働許可証)、VISA、TRC(一時滞在許可証)取得

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