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「海外事業のガバナンス強化を実現する組織マネジメントのあり方について」GLASIAOUS Next 2019【開催レポート4】

2019.04.15

開催レポート4回目は、海外展開を行われている企業様の中で最近特にご関心の高い、ガバナンス強化のセッションについてお届けします。

セッション② 海外事業のガバナンス強化を実現する組織マネジメントのあり方について 

日本企業の海外子会社数および海外取引は近年さらに増加傾向にある。海外事業の重要性が高まる一方、海外子会社の粉飾や会計処理の誤り等に係る事例も散見される。
日本本社から海外子会社に対するガバナンスを強化するための組織作りのあり方について、自身も海外駐在経験のあるCaN International パートナーの清水厚氏が、事例を交えて解説を行った。

1.増加する海外子会社数、多様化する役割

経済産業省が公表している海外事業活動基本調査第47回調査結果によると、日本企業の海外子会社数は2011年から2016年にかけて約30%増加している。また、海外子会社が担う役割も多様化しており、近年ではこれまで多かった現地マーケット獲得のための販売会社や、コストメリットを生かした生産拠点だけでなく、高付加価値品の生産、研究開発等の他、地域統括機能を有する会社も増えているという。 

2.海外子会社をめぐる課題

海外子会社管理をめぐる課題として、組織の複雑性に起因した不明確な責任の所在とレポーティングラインが挙げられる。「たとえば、本社と事業部、子会社において責任の所在が不明確であったり、管理部門の業務範囲が重複していたりといった要因から、組織のレポーティングラインと実際の指示・命令のアンマッチなどが生じることによって、海外子会社管理が不全になっている事例が見受けられる」と清水氏は語る。また、組織体制面における課題として、日本人駐在員の役割や責任権限が不明瞭であったり、子会社の現地役員やスタッフとのコミュニケーションが円滑に取れていなかったりするケースもみられるとのことである。

3.財務報告体制の留意点

親会社による海外子会社の財務報告体制への関与は欠かせない。「財務報告に関する子会社の役割と責任、関連業務に係る方針と手順は、グループ全体の統一ルールとして明確に定めておくことが必要だ。」と清水氏は語る。
また、海外子会社においても、主体的な財務報告体制の構築、決算数値の精度向上や、現地税務リスク対応、各種レギュレーション対応といった観点から、必要に応じて親会社および外部専門家の利用を検討するのが効果的であるという。 

4.不正への対応策

事例に基づき、対応策について解説を行った。不正が発生する要因については、親会社から言語やリソースの問題でガバナンスを十分に効かせられていないことや、子会社側で不正に対する問題意識が低いことなどが挙げられるという。
不正発見の経緯は内部通報が一番多いという調査報告があり、内部通報制度の構築・運用は有効な対応策のひとつである。」と清水氏は語る。一方でグローバルな内部通報制度を構築している企業は4割程度にとどまっているとの調査結果もあり、多くの企業で今後の課題になる可能性があるとのことだ。

おわりに

海外子会社の多様性/重要性が増す中で、これまでよく見受けられた“現地任せでよい”というスタンスの企業は減っていくように思われる。すべてのリスクを把握し、対応することは困難であるが、継続的な検討を行っていくための組織作りの手を緩めることは許されない。
海外子会社の不正に注目が集まる昨今、親会社による積極的な組織管理が必須であるとして、セッションは結びとなった。

親会社からのサポートや、適切なレポーティングラインの構築、内部通報制度等の活用が、組織のガバナンス強化を実現し、ひいては海外事業活動における競争力向上に資するためのヒントになるのではないだろうか。

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